第11章 自己紹介
「じゃ、相澤くん私はこれから職場体験先への挨拶回りがあるのでさんの事あとは任せるのサ!さん、ヒーローになるものとして精一杯励んでほしいのサ!」
『はい。』
私は半分聞き流しながらそう答えて、イレイザーヘッドと校長室を後にした。
「もうすぐホームルームが始まる。...から先に教室へ案内する。のクラスは1年A組だ......」
気怠そうに言うイレイザーヘッドの後ろを歩く。両手をズボンのポケットに入れ、やや猫背なその後ろ姿が余計に気怠さを増していた。この階段降りたら食堂な、とかヒーロー科は2クラスある、だとか色々説明されたが私の耳には全く入っていなかった。
『イレイ......相澤先生、オールマイトはどこのクラスなんですか?』
説明するイレイザーヘッドを無視して私は質問をした。
「オールマイトは.........クラスを持ってないよ」
私がこの男のクラスになった時点で、オールマイトへの接触は難しくなるというのに...まさかクラスも持ってないなんて。
あ、噂をすれば、とイレイザーヘッドの急に立ち止まるから私は彼の大きな背中にぶつかってしまった。その瞬間この男から放つ香水の類ではないほのかに漂う自然な香りが鼻腔を蕩かす。
『いっ......』
急に止まるな...
「やあ!相澤くん!今日は君のクラスに新しい生徒がくるんだって?さらに賑やかなクラスになるなぁ!!」
オール...マイトッ......!!
髪の色と同じ色の黄色いスーツに身を包みイレイザーヘッドの前に立つ男。オールマイト。手が出てしまわないように、皮膚に爪が食い込むくらいギュッと拳に力を入れた。
あぁ、私とオールマイトの間にこの男がいてくれて良かった、と今だけそう思った。
「おはようございます...オールマイトさん。その新しい生徒っていうのがこちらですよ...」
抑揚のない声で淡々と喋り、後ろにいた私とオールマイトが正対するように半歩右にずれるイレイザーヘッド。