第11章 自己紹介
黒霧のメモを頼りに、なんとかたどり着いた雄英高校。
『でっか...』
USJ襲撃前に遠くのビルの上から一度見たきりだったからな。
近くで見るとやっぱ大きいな...。
『ふぅ...』
気持ちを切り替えるように大きく深呼吸をし、雄英の門を潜り抜けた。
『すみません、校長室はどこですか?』
「校長室?そこの階段上がって右に曲がった2つ目の部屋だよ。」
『ありがとうございます。』
それにしても、さすが雄英。色んな個性の人間がいるなぁ。
私はすれ違う人の個性を盗み見ながら、教えてもらった校長室へ向かった。
大きな扉の前で、再び大きく深呼吸しノックをする。
『失礼します。』
引き戸を開けてそこにいた人物に息を呑む。
明らかに大きすぎるデスクの前に座る白いネズミのような姿をした校長と、首だけこちらを振り返った全身真っ黒の、無精髭にくたびれた外見の男
イレイザーヘッド
まさか滑出しでこの男に会うとは
ほんと最悪
「やぁ!君がさんだね?ちょうど相澤くんと君の話をしてたところなのサ!さ、入って入って!」
私の?なんで?
『失礼します。』
イレイザーヘッドとは少し間を開けるようにして、校長の正面に立つ。
突き刺さるようなイレイザーヘッドの視線が痛い
『本日よりお世話になります。です。』
あぁ...。弔くん。と私は内心で呼びかけていた。いま私の隣にイレイザーヘッドがいるよ。今ここで奇襲攻撃をかけたらイレイザーヘッドはどんな顔をするのかなぁ。
「君の担任の相澤消太だ。よろしくね」
え...
まるで私のその思いに呼応するかのように単調な低い声でイレイザーヘッドがそう言い私に身体を向けた。
よりによってこの男のクラス?って事は生徒はあのUSJの時いた子たち?どこまで私は運がないんだと思った。
オールマイトのクラスがよかったな、出かけた言葉をなんとか飲み込んだ。
それにしてもやる気のなさそうな男だ。本当にこの男があのUSJ襲撃の時の男と同一人物なの?
脳無ちゃんにやられた時のだろうか、イレイザーヘッドの目の下には私と戦った時にはなかった傷ができてた。
『よろしくお願いします。相澤先生』
まだ生きていたんですね、という言葉を置き換えて私はそう言った。