第8章 潜入の前に※
弔くんはそう言うと、私の手首を小指だけを浮かしぎゅっと掴んで引き寄せた。そのまま弔くんの胸に収まるようにして2人でベッドに沈みこみ、ベッドのスプリングをギシっと軋ませる。
喋ればお互いの吐息がかかる距離。
身を捩らせたいが、弔くんの傷の事を考えると、どうにもできない。
『と、弔くんっ.....私重いからっ....下ろして...よっ.....んっ』
うるさい。まるでそう言うかのような荒いキスだった。何度も何度も角度を変えて。私の下にいる弔くんの両手が私の頭を押さえて離さない、それすらも気持ちよくて、私はなすがままになっていた。
『んっ...ふ...んぁ』
頭がぼーっとしてきたところでやっと弔くんの顔が離れ必死で酸素を吸う。
「ハッ...えろい顔...」
『そんなっ...顔......ん』
髪の毛の流れに沿うように、優しく撫でてくれる弔くん。気持ちいい...
「雄英の奴らに喰われる前に、今ここでお前を喰う」
『ぇ...』
言われた言葉を理解するより前に、いつのまにか視界は部屋の天井と弔くんを見上げていた。
『んぁ...ッ...やぁっ...』
弔くんの舌が私の耳の淵をなぞるようにして這う。
耳、髪、おでこ、頬、唇。順々にゆっくりと存在を確かめるように、チュッ、チュと丁寧に口づけを落としていく。
『ぁっ...ん』
「ふっ.....は...ぁ」
再びされるキス。弔くんの舌がぬるりと入ってきて、歯列をなぞられる。私も弔くんの舌を追いかけるようにして、絡めとる。
弔くんの手は私の服の下から腰をつーっとなぞりそのまま胸へと到達し、胸の輪郭をなぞるようにしてやわやわと揉んでいく。けど胸の中心部にはなかなか触れてもらえず、もどかしくなってしまう。
『やぁっ.....弔くんっ』
「んだよ...嫌じゃないだろ?。」
『ちが...ッ...』
んー?と言いながら、わざとらしく口角を上げながら言う弔くん。
「言わなきゃ分かんねーよ...言え」
ううう...弔くん...分かってるくせに。
「ほら、言えよ。どうして欲しいんだ?ちゃん」
っ!!
『っち...くびを....さわっ....て...欲しい...のッ...弔...くんッ』
羞恥よりもこの先の快感に早く辿り着きたかった私は縋るような思いでなんとか口に出した。