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【ヒロアカ】白は黒になるが黒は白にはならない

第25章 新しい生活※




1階部分の共同スペースに行くと既に荷解きを終わった生徒がちらほら、ソファでくつろぎ団欒していた。


「あ!も荷解き終わったー?これからみんなで部屋お披露目大会するんだけどもやろうよー」

「無理強いはいけませんわ、芦戸さん。さんもお疲れの様子ですし。」

ソファに座っていた芦戸さんが私を振り返り手招きしていた。

お部屋、お披露目大会...?人に見せるような部屋でもないし、なんとなく今はぐちゃぐちゃな感情を1人で整理したかった。

「んー、ごめんね。私はパスで。」

「そっかぁ。じゃあ爆豪も寝ちゃったし、梅雨ちゃんも体調優れないみたいだからできる人だけでやろっかぁ!!」

そんな楽しそうな芦戸さんの声を背中で聞きながら外に出た。


玄関から外に出て、数段の階段を降りるとすぐ横にはベンチがあった。腰をかけて、夜空を見上げた。

しんと静まり返る夜に混ざって、寮の中からはみんなの楽しそうな声と、早速お部屋お披露目大会とやらをしているのかそれぞれの部屋を行き来するような足跡がぼんやりと聞こえてきた。

まるでそれが、光の中を進む者と、暗闇を進む者。ヒーローの卵である彼らとヴィランである私の生き様を表しているようにも感じて自嘲すら出てきた。

先生はオールマイトに負けた。そしてタルタロスとかいうヴィラン収容所に連れて行かれた。悲しいに決まってる。先生が暗闇の中で私を見つけてくれた。先生のおかげで強くなれた。連合のみんなにも会えた。


でも────


「なにしてる」

ふと横から声をかけられて視線を移す。夜にそんな全身黒じゃ分かりませんよ、と心の中でつっこんだ。

『相澤せんせ...』

「中に入らないのか。風邪ひくぞ。」

イレイザーヘッドが喋る内容は心配しているものだと頭では理解しているのに、低く、抑揚のないその声が尋問のようにも感じて吹き出しそうにもなった。

『なんか、風に当たりたい気分で。』

「...そうか。」

そう言って、私の座るベンチに1人分開けて隣に座ったイレイザーヘッド。

さっきまで聞こえてきた、寮の中の他の生徒達の声やら足音がいつの間にか聞こえなくなっていた。いや、自分の心臓の音がうるさすぎるせいなのかもしれない。

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