第25章 新しい生活※
私は晴天の下で、真新しくまだ築3日だという大きな建物を見上げていた。雄英敷地内にある校舎から徒歩5分のところに建てられたこの学生寮。建物の中央には大きく1-Aと描かれている。
───雄英に戻ったらイレイザーを殺せ
弔くんからそう言われたあの日、私はあの後すぐには返事ができなかった。それを実行できない事くらい、自分が一番分かっているからだ。
今日ここに来るまでの3日間他のメンバーと話すことはあっても弔くんとは挨拶はするものの必要最低限話す事はなかった。
結局弔くんとはきまずいまま今日ここに来てしまったけれど、私はいつまでこの寮生活を続ければいいんだろう。もしかして、もうこのまま2度と連合のみんなには会えないのかな。
弔くんも、もちろん連合のみんなも大好きなのに......イレイザーヘッドを殺せという命令を無視したら私は、その時の私はなんなんだろう......
『はぁ』
永遠と答えの出ない疑問を自分の中で何度も問いただすが、やはりその答えは分からなかった。
「おーい、」
『え?』
「え、って。ずっと声かけても怖い顔してんだもん。どうしたの?」
私の隣で耳郎さんが顔を覗かせながら訊ねてきた。全然気づかなかった。
『あー、なんか寮生活って緊張するなあって』
「確かに。つーかよー、また皆こうして集まれて良かったべ!」
上鳴くんの、みんなという言葉に周りを見るといつの間にかA組の生徒が集まっていた。
「耳郎と葉隠もあのガスで直接被害あったもんな。ほんと無事で良かった」
自分の尻尾を弄りながらそう言った尾白くん。私が知らなかった事実に愕然とした。
『え。そう、なの......?』
「そうそう。うちら半日は目覚めなかったらしい。でもヤオモモのガスマスクが無かったら今頃どうなってたか。」
「でも、私たちよりもヴィランに攫われた爆豪くんとちゃんたちの方が怖い思いしたよねー!!ほんとちゃんが無事でよかったぁ!」
『私は別に......。ごめんね。』
全部自分が撒いた種なのに。今になりどうしようもない罪悪感に陥り消えるような声で自分勝手に私は謝罪の言葉を口にした。