第25章 新しい生活※
「で、ドクター。なんか用があるんだろ。」
「今は勢力をかき集めろ死柄木弔。オールフォーワンの消失は連合にとっちゃ大きな打撃じゃ。」
『...何のために?ドクター』
「あ?」
ドクターに質問をしたのに返ってきたのは弔くんの低くて冷たい声だった。
『だってそうでしょ...。先生は捕まった。私たちはオールマイトに負けたんだよ。もう私たちを動かすものは、』
「だからだろ」
『え...』
「お前は悔しくないのか?先生が負けて、捕まって。つか、いつからお前はそんな理性で動くようになったんだ?」
『っ...』
弔くんに言葉を遮られ、質問された。燃えるような赤い目が私を捉えた。
悔しいに決まってる。先生がいなくなるのは寂しい。けれど、同時に私は雄英生の、ヒーローの温かさに触れてしまったから。
「まぁまぁ、2人ともそうカッカするでない。黒霧、お前さんには先生から特別な任務を預かっておる。」
「私にできることであれば喜んで。」
「他の者は各々仲間集めに勤しんでおくれ。まぁ、は例外になりそうじゃが...」
『...例外?どういう事、ドクター』
「ほれ。」
そう言ってドクターに画面越しに見せられたのは、1枚の書類。そこには雄英高校、全寮制度の案内と書かれている。
「は、どういう事だドクター」
「の仮で住所登録してる家に夕方届いたんじゃ。おおかた、生徒を守るための手段と考えて良いじゃろう。2度も襲撃を許してる雄英、とにかく生徒を学校の管轄に置いておきたいといったところじゃろ。」
「えー、ちゃん雄英の寮に入っちゃうのですかぁ?ヤ!トガ寂しいのですッ」
きっと少し前の私なら、弔くんに泣きついてでも嫌だと言っていただろう。
でも今は──
『私、行くよ弔くん。』
「そのつもりだ。そんで────」
弔くんがゆっくりと口角を上げた。嫌な予感が背筋を走った。何気ない呼び方ではあったが、奇妙な威圧感が空気を震わせた。
弔くんの言葉のその先を聞いてはいけないと頭の中で警鐘が鳴り響く。
「雄英に戻ったらイレイザーを殺せ」
頭が真っ白になった。
弔くんの言葉の意味を理解できないでいた。
いや正確には理解したくなかった。
お前はヴィランなのだと改めてそう言われてるような気がした。