第24章 vs■■■
あれから轟くんたちと合流した後、私とかっちゃんは、デクくんたちに連れられ警察署へ行った。
トガちゃんのように私は指名手配はされてないものの警察の元へ行くのには少し気が引けた。
けれど引き返すわけにもいかないので渋々ここまで来た。
私もかっちゃんも静かだった。
警察署の中に入り、かっちゃんと別れて別々の部屋に案内された。健康状態、精神状態の確認をされてからはその後は質問責めだった。
「さん、君を合宿時に連れ去ったヴィランの顔とか覚えてますか?」
『覚えてません』
そう答える他なかった。だってそんな事実もともと存在しないのだから。
「もう1人の被害者...爆豪くんは死柄木弔と言葉を交わしたらしいんだけど、さんも他のヴィランと何か言葉を交わしましたか?」
弔くんの名前が出て身体が強張る。首を横に振ることしかできなかった。今までだって散々色々なところで嘘をついてきたのに、嘘をつくことに初めて罪悪感のようなものを感じた。
『......他の...ヴィランは捕まったんでしょうか...』
目の前の警察と目が合わせられない。声が震えそうになる。
「いや。オールマイトが戦った大元は捕らえたんだけどね。死柄木をはじめとした実行犯らまるまる取り逃しちゃってね。」
『そ、ですか。』
弔くんたちは捕まってない。その事実に少し安堵する。けれど。
神野区で、私がデクくんたちの逃走を手助けした事、弔くんは間違いなく怒っているだろう。今頃血眼になり私を探し回ってるだろうか。それとも...先生が負け、捕まってしまった事で途方に暮れているだろうか。
そもそも私も弔くんたちに加勢してたら今頃先生は───
「さ、取り調べはここまでだ。疲れてるところありがとう。イレイザーヘッドも君たちを心配してるから、早く元気な姿を見せてやっておくれ。」
私の思考を遮るように警察官が言った。白い歯を見せて笑うと立ち上がり、私もつられるようにして椅子から立ち上がり部屋を出た。
部屋を出ると隣の部屋からも同じタイミングで警察とかっちゃんが出てきた。