第24章 vs■■■
人混みを掻き分けて、なんとか大型モニターの前までたどり着いた私たち。
テレビ画面の上部には小さく白文字で
ヴィランの人数 個性 目的は不明のテロップと先程まで私たちがいた神野区でオールマイトと....先生が戦っているところが中継で映し出されていた。
この場にいる人々がその様子を息を飲んで見守っていた。私を除いて。
「オールマイト大丈夫かな」
「頑張れ!オールマイト!」
「オールマイトなら楽勝だろ!」
あちこちでそんな声が聞こえてきた。
映像には音声までは拾われていないものの、先生とオールマイトがぶつかり合うところが映し出されている。
ヘリコプターから中継してるであろう、カメラマンも時折映像が乱れたり違うところを映している事から、2人の戦いの凄まじさが汲んで取れる。
───ま、まさに悪夢のような光景です!
神野区が半壊滅状態となっています!!現在オールマイト氏が元凶と思われるヴィランと交戦中です。信じられません...ヴィランはたった1人...!
リポーターであろう人の興奮した声がモニターから聞こえてきた。
かっちゃんの腕に抱かれたまま自分の拳をぎゅっと握ったその直後だ。ここにいる人々がざわめき出したのは。
先生が放った衝撃波がオールマイトに直撃したあと、一瞬土埃で映像が乱れた。映像がクリアになるとともに現れたのは、先生と...痩せこけたようなオールマイトの姿だった。
なにあれ....あれもオールマイト...?
私が知らない初めて見るオールマイトの姿に頭の中が疑問符で埋め尽くされた。
「ンだよ...ッ...あれ」
「.....ッ!!」
私を抱えるかっちゃんと、隣に立つデクくんの反応を見る限りどうやら雄英の生徒ですらも知らなかったようだ。
けれど眉を顰め驚くかっちゃんとは反対に、青ざめた顔のデクくん。その表情は、秘密ごとがバレてしまった時のような.....まるで最初からオールマイトのあの姿を知っていたかのようにも見えた。
動けずに血だらけのオールマイトがただ立ち尽くしているだけの映像は、まるで伝播するかのように人々に不安を襲っていた。
「あんたが勝てなきゃあんなの誰が勝てるんだよ...」
「姿は変わってもオールマイトはオールマイトでしょ!」
「いつだって笑って何とかしてきたじゃんか!」
「オールマイト頑張れ!」
