第24章 vs■■■
かっちゃんに、抱えられたまま神野区から離れた私たち。飛行中に切島くんから聞いたのだけど、どうやらさっきまでいた場所は神野区というところだったらしい。
駅前の中でも極力、人の少ないところへ着地してから私とデク君、かっちゃんと切島くん、そして委員長の5人は人だかりの出来ている大型モニターを目指して歩いていた。私を除いて。
『.....ねえ。かっちゃん、もう降ろして...?自分で歩ける...から。みんな見てる...』
オールマイトと先生の戦いで交通機関も止まっているのか駅前にはそれなりに人もいた。
着地したあと、すぐにかっちゃんにまた横抱きにされた私は今もこうして抱かれたままだった。
「...ッせーな。てめェはだぁってろ」
足...怪我してんだろ、聞こえるか聞こえないかくらいの声量でそう言うとそっぽを向いてしまったかっちゃん。よく見てるな。
「さん、ごめんね。合宿襲撃の日、キミがあの後僕を追いかけてくれたの全然知らなくて....」
歩きながらデクくんにそう言われた。デクくんの言葉に心臓がドクンと嫌な音を立てる。
あの後...というのはトガちゃんが言ってた、デクくんが洸汰くんとかいう少年をイレイザーヘッドに届けにきた後の事だろう。
『ん、大丈夫だよ』
その時の私は私に変身してたトガちゃんなので当然私自身も知らない。けれど辻褄を合わせるために余計なことは言わずにそれだけ返事をした。
「まさか、くんもヴィランに襲われてたなんてな。でもまたこうして君たちに会えて委員長として俺は本当に嬉しいさ。」
「あ、轟くんから電話だ。もしもし轟くん僕だよ。うん、うん......僕らも無事だよ。かっちゃんとさんの奪還は成功だよ。」
携帯に轟くんから連絡のあったデクくんが通話している。轟くんの声は聞こえないけれど、デクくんの話し内容からして轟くんも八百万さんも無事なのだろう。
「いいか!!俺は助けられたワケじゃねェ!1番いい脱出経路にテメェらがいただけだっつの!」
「ナイス判断!!!」
デクくんの通話から聞こえてきた奪還、という言葉が気に入らなかったのか私を抱いたまま面白くなさそうに怒鳴るかっちゃんと宥めるかのようにフォローする切島くん。
さすが切島くん、かっちゃんの扱い方を分かってる。