第24章 vs■■■
「来い!!!爆豪!!!」
『...行って......!!!』
切島くんが爆豪くんに向かって手を差し伸べ叫んだのと、私が切島くんの肩から手を離して切島くんを蹴り上げたのはほぼ同時だった。
「さん...ッ...!?」
「くん!!!!」
「!!!」
『痛ッ......』
負傷してる足にさらに負荷をかけたことで足に強い衝撃が走った。
仰向けになり視界から空からどんどん離れていく。私だけ地面に向かって落ちていく身体。足での着地はきっと無理だ。もし生きていたら、弔くんたちには謝ろう。いや、謝る前に消されちゃうかな。
雄英に対して、こんなの罪滅ぼしにもならないけど。
心の中で先ほどと同じ問いかけをした。
私は何と戦っているんだろう。
目を瞑って、死を覚悟したその瞬間私の身体は柔らかい感触に包まれ、急降下していたはずの身体は一気に急上昇していた。
『え......な、んで...』
「泣くくれェなら、ンな危ねェ事すんなや」
目を開ければ、かっちゃんが私を横抱きしたまま個性を使って切島くん達の元へ一気に爆風で進んでいた。
かっちゃんに言われて初めて自分が涙を流していた事に気が付いた。
これはなんの涙なんだろうか。
その答えを導き出す前に切島くん達の元へは一瞬でたどり着いた。
「バカかよ...」
そう言いながら切島くんの手を取るかっちゃん。
この状況に驚いてるのか、助けられたことを屈辱に感じているのか、それとも照れなのかかっちゃんのその一言には色々な感情が込められていたように感じた。
必然的に私はかっちゃんの肩に、担がれるような体制になった。私の腰のすぐ横にはかっちゃんの顔があるけれど今はこの格好を恥ずかしがる余裕はなかった。
どんどんと遠ざかっていく、先生や連合のみんな。
『せんせ.....ッ....負けないで...』
「オールマイトなら...負けねェよ」
進行方向を見るかっちゃんの言葉と、進行方向とは逆を見る私の言葉は噛み合っているようですれ違っていた。
訂正も否定もしなかった。
理解しなくていい。交わらなくていい。交わらないから、ヴィランとヒーローだ。