第24章 vs■■■
弔くんくん達がこの場所に姿を現したのはそのすぐ後だった。
「くっ、せぇ...!んじゃ、こりゃ...ッ」
突然水の流れるような音がしたと思えば、連合のみんなの呻き声のような声と、かっちゃんの咳き込みと苦しそうな声。
「...ッ!かっちゃん...!」
「「...爆豪!!」」
息を潜めながら驚くデクくんと轟くん、切島くん。
崩れかけた石塀の内側にいた私たちは、1人ずつ順番にその様子を窺っていた。
私も切島くんの背中からその様子を見る。いつのまにかそこに先生もいた。
『あ、な...んで...っ』
他の連合の仲間は立っているのに、黒霧と荼毘だけがぴくりとも動かずに倒れている。
やだ。立ってよ...。
意識はあるのか?怪我をしているのか?今すぐに2人の元へ駆け寄りたいが、この状況じゃどうすることもできない。なによりこの足じゃ動くこともできない。
何もできない自分に嫌気がさして、切島くんの肩を掴んでいた私の手に力が入る。
「やはり、来ているか。」
静かに、だけど威圧感漂うその先生の口調に恐怖で私ですら、一瞬身体が射抜かれたように動かなくなった。それはデクくんたちも同様に感じとったみたいで。
その言葉はデクくんたちに向けられているものだと思ったその瞬間猛スピードで先生にぶつかった大きな身体。オールマイトだ。
「スマーッシュッ!!!!」
2つの大きな身体がぶつかりこちらにまで衝撃波が鼓膜を揺らした。
オールマイトの攻撃を素手で受け止める先生。その衝撃で巻き起こる爆風で周りにいた私たちや、連合のみんなも立っているのがやっとだった。
「う......オールマイトまで...」
先生とオールマイトがやり合う隣で荼毘と黒霧以外の連合のみんながかっちゃんに畳み掛けている。
『デクくん、どうやってかっちゃんを助け出すの。』
これまでの私だったら、邪魔をするための、探りを入れる為の質問だっただろう。でも今は違う。ただただ気になった。デクくんならどうするのか。
悩んでいるのであれば。
合宿を邪魔したお詫び......にもならないけど彼らを先生や連合のみんなから遠ざけたいと思った。
先生も連合もまだこちらには気づいてない。あくまでかっちゃんは人質だし弔くんも殺すことはないだろう。あとで、こっそり私がかっちゃんを逃せばいいと思った。