第24章 vs■■■
「さん......ッ!!しっかりして...!さん...!」
馴染みのある声と、身体を揺さぶられ目をゆっくり開けた。心配そうな表情で私を見下ろすデクくんがいた。
『ん......あれ...デクくん...なんで...』
「僕たちは、かっちゃんを助けに八百万さんの発信機を辿ってこの倉庫まで来たんだけど...」
発信機......あの脳無ちゃんに付けられていたのは、八百万さんの個性で作られた発信機だったか...。
「そしたらいきなりMt.レディやベストジーニストらがこの倉庫を制圧しに来た。」
「やはりくんもヴィランに攫われていたのか。委員長である俺が不甲斐ないばかりに...ッ」
「とりあえずさんのお姿が見れて良かったですわッ...。皆さん心配してましたのよ。」
轟くんの口から出た名前はおそらくプロヒーローだろうか。さっき見えた大きな足はそのヒーローのものか。
自分の不注意だ、と言って頭を下げる委員長と声を震わせながら私を心配してくれてる八百万さん。
この子たちは完全に私が攫われたものだと勘違いしてるらしい。それならそれで構わないけど。
けれどやはりヒーローの卵だ。私なんかに心配する彼らを見て心がなんだか痛む。
怪しまれない程度に周囲を確認して先生の姿を探すが見当たらない。さっきの衝撃で先生もどこかに飛ばされたのだろうか。
『いっ......た...』
立ちあがろうと身体を起こそうとしたが足に強い痛みが走り身体がよろけた。
「おい、無理すんな。怪我してんだろ。」
ほら、と言って私に背を向けしゃがむ切島くん。
乗れって事...?どうしようかと私が動けないでいると八百万さんに背中を優しく押されてしまった。
「さん、ここは切島さんのお言葉に甘えさせていただきましょうッ」
『あっ.......』
切島くんの後ろから両肩に手を置くといとも簡単に私を背負ったまま立ち上がる切島くん。