第24章 vs■■■
「飯田、もうちょい下がれるか?」
「切島くん、あまり身を乗り出すなよ。危ないと思ったらすぐ逃げ出せる体制にしておくんだ」
「立つぞ、緑谷」
「いいよ、轟くん」
はっきりと聞こえてくる声に緊張と焦りが私を襲う。
まずい、まずい、まずい。
デクくん達に警察に通報されるのは時間の問題だ。私のこの位置は彼らには死角で見えないはず。
通信機のボタンを押し小声で連合の仲間に声をかけた。
『...ッ、ねぇ誰か聞こえる...ッ?』
一向に返事が来ない。けれど雑なノイズ音に混ざって、聞いたことのない声ばかりが微かに聞こえてくる。しかも1人ではない。何人もいる。
だれ....?
「......ちゃん...聞こえますかッ...」
通信機から苦しそうなトガちゃんの声が小さく聞こえてきた。声の様子からして押さえつけられてる......?
『トガちゃん...ッ!?そっちで何があったの...!?』
「突然ヒーローたちが襲ってきて......ぅ、痛い...ッ...です...!」
「木の人引っ張るなよ...!押せよ...!」
そこで通信はプツリと切れた。最後に聞こえてきたトゥワイスの声だ。木の人......?プロヒーローの事だろうか。
それにヒーロー達が押し寄せて来たって、どういう事?さっきの雄英の会見のすぐに?それに会見では捜査は進まず難航してるって......。
連合のみんなが大変な目に遭っているだろうに、自分1人だけこんなところにいるのがもどかしい。
通信が取れない以上黒霧に連絡もできないのでワープゲートを出してもらうことも出来ない。
とりあえず今はデクくん達と鉢合わせしないよう私はここを出るしかない。
1秒でも早くこの倉庫から離れるべく、デクくん達の隙を窺って入ってきた入り口とは反対側の鉄扉を開けて外に出た。