第24章 vs■■■
「......行方不明、だァ?どうせてめェらが拉致ったんだろうが。小豆女......アイツは今どこにいやがる...」
眉を不快そうに曲げ黙ってテレビに目を向けていたかっちゃんが低い声で静かに呟いた。
「俺らが攫ってたらなんだってんだ」
首筋を掻き、私を一瞥してからかっちゃんを睨む弔くん。
「小豆女は解放しろや...テメェらが用あンのは俺だけだろーが」
なにそれ。いつも喧嘩腰なくせに。
自分の掌にじわじわと変な汗をかいていくのを感じた。
テレビの中で突然ガタンと音がした。イレイザーヘッドが勢いよく椅子から立ち上がった音だ。
───のそのような行動については全て教育者の私の不徳の致すところです。
ただ、雄英に来てまだ間もなく口数も少ない彼女ですが、何かに葛藤し、必死に踠こうとしている。私はそれを否定したくはないし、表面上だけで彼女を判断しないで頂きたい。
『ハ......』
自分の仮面の中で乾いた自分の笑い声を聞いた。真っ直ぐカメラを見つめるイレイザーヘッドの双眸。テレビの画面越しの私も気圧されるくらいの強い瞳だった。
何を知ったふうな。
そんな風に言わないでよ。私はあなたを殺そうとしたのに。
胸がどくんと弾んだ。鼓動が強くなった。鼓動の音が頭を埋め尽くしていく。この期に及んでも、イレイザーヘッドとの今までのやり取りが、出来事が、脳裏をよぎっていく。
自分が自分で無くなりそうな気がして、この場にいるのがしんどくなった私は逃げるようにして黒霧の側へ寄った。
『黒霧、ゲート出して。脳無格納庫に行く。弔くんいいでしょ?』
早口で弔くんに言った。感情が高ぶる。お腹に力を入れて平静を装った。
「あぁ。」
相変わらず首を掻きむしりながら言う弔くん。弔くんが痒みを伴う時は大抵苛立ちを抑えきれない時だ。弔くんがなにをそんなに苛立てているのか考えても分からない。
というよりかは、今私にそこまで考える余裕がなかった。自分のことでいっぱいだ。