第24章 vs■■■
ミスターが指を鳴らすと、水色のビー玉はあっという間にかっちゃんの姿に変わった。
洋服は合宿最終日のままで、まだ意識を失っていた。目が覚めないうちにかっちゃんを、椅子に括りつけ、個性が使えないように両手を拘束していくトゥワイスとスピナー。
物音や自分の身体の違和感に気づいたのか少しずつかっちゃんの瞳が開かれていく。
首は動かさずに目だけを動かし状況を把握していくかっちゃん。
「てめェら...」
唸るようなかっちゃんの低い声がアジトに響いた。
「お、ようやく起きた。単刀直入に言う。ヒーロー志望の爆豪勝己くん、俺の仲間にならないか?」
カウンターに肘をつきながらどこか楽しそうに淡々と話す弔くん。
「寝言は寝て死ね」
こちらも負けじと弔くんから目線を逸らさずに毒吐くかっちゃん。
───それでは先程行われた雄英高校謝罪会見の一部をご覧下さい。
突然テレビから聞こえてきた雄英高校というワードに私もかっちゃんもすぐに反応した。
テレビの中には黒のスーツを身に纏い、いつも無造作に下ろされた黒髪は後ろで綺麗にまとめられたイレイザーヘッドと、校長、ブラドキングが映っていた。
頭を深く下げて、謝罪の言葉を述べていくイレイザーヘッドの姿に何故だか私の心はチクリと痛んだ。
イレイザーヘッドのワイシャツの襟から伸びた首筋を見るとまた思い出してしまう。あの日の事。
テレビから目を逸らして視界に入れないようにしたのに、次にテレビの中から聞こえてきた私の名前にまたもや反応してしまう。
───攫われた爆豪くんの他に、現在行方不明になっているさんについてお聞かせ下さい。
取り調べでは、最後にさんの姿を見かけたのがイレイザーヘッドだとお聞きしました。
担任であるあなたの指示も聞かずにどこかへ行ったと、伺っておりますが普段から教育が行き届いてない、もしくはコミュニケーション不足がこのような状況を招いたと思うのですがそちらについてはどのようにお考えでしょうか。
多分私に変身したトガちゃんの行動のことを言っているのだと思うけど、わざとストレスをかけてくるような攻撃的な質問をぶつけてくる記者に、ここははっきりと苛立ちを感じた。