第22章 林間合宿 3日目※
「はぁ.....!?おじさんが頑張って目標回収してる時に、なに2人は楽しんでるワケ!?」
ミスターの声と鈍い衝撃音を最後に通信は途切れた。
さすがに荼毘もそれを不自然に思ったのか、荼毘の腰まで高く持ち上げていた私の身体をゆっくり地面に下ろした。
「ハ....ミスターの通信切れたんだが」
誰のせいよ、と言いたいのは我慢した。お前も共犯だろ、とニタニタ笑いながら言い返されるのは目に見えていたから。
『もー!!ミスターに聞かれたかもしれないじゃん...!ミスターだけじゃないよ、他の人にも!』
ミスターの安否よりも先に、そういう事をしていた声を聞かれたかもしれない事を咎めた。
力の入らない足になんとか鞭を打ち乱れた服を整え、散らばった武器を拾いながら荼毘を睨む。
「フ...そうカッカすんなよ。お前こういう状況ン時、すげェ中締まんのな。聞かれて興奮してんだろ?」
『な...ッ...!』
「それに先に誘ってきたのはお前だろ」
何も言えなかった。色々考えるのをやめたくなって自分の足で荼毘のところにきて、自分から荼毘を求めたのだから。
気がつけば、私と荼毘を囲んでいた蒼炎とガスの壁は先ほどよりも薄くなっていた。
黒煙なのか土煙なのかガスなのか、判別もつかない煙が薄くなったところから人影が2つ見えた。こちらに歩いてくる姿に身構える。
「ちゃーんッ!!」
煙の中から出てきた見慣れた姿に安堵し走って抱きついた。
『トガちゃん!』
こちらへやってきたのはトガちゃんとトゥワイスだった。
外に追い出してごめんね、とトゥワイスに心の中で呟く。
「そういえばぁ、さっきの無線、ちゃんと荼毘くんはナニしてたんですかぁ?」
『え...ッ...、』
なんだか嬉しそうな顔で尋ねてくるトガちゃん。やっぱり聞かれてた。
「黙れイカれ野郎、血は採れたのか?何人分だ?」
自分のベルトをカチャカチャ締めながら、今度は荼毘がトガちゃんに涼しい顔で質問した。
そういうのはトガちゃんとトゥワイスが戻る前に直しておいてほしいものだと我ながら思った。