第22章 林間合宿 3日目※
どのくらいしゃがみ込んでいたのかは分からないけれど、動かなきゃ、と思ったのは全身に暖かい電流が走った時だった。
マンダレイのテレパスだ。膝に顔を埋めたまま耳を澄ます。
──A組B組総員!プロヒーロー、イレイザーヘッドの名において戦闘を許可する!
繰り返す!A組B組総員!戦闘を許可する!
『え......』
聞こえてきたマンダレイのテレパスに顔を上げて眉を顰める。戦闘を許可するって......。
資格未取得者が個性で危害を加える事は規則違反になる──
いつかの黒霧が私に言ってきた言葉だ。保須事件でヒーロー殺しを倒したデクくんと委員長、轟くんの功績が世間に公にされなかったのは確かそういう理由だった。
たとえ相手がヴィランでも。
イレイザーヘッドもそれは知っているはず....
何を考えてるの。
立ち上がり短パンについた土を払う。戦闘許可が出た瞬間にあちこちから地響きや衝撃音が風に乗って聞こえてきた。
「あっ、いました。ちゃん!」
聞き慣れた声に、首をそちらへ向けるとトガちゃんが立っていた。変身は解かれていていつものトガちゃんだった。
『トガちゃん!』
見慣れたその姿に安心してトガちゃんに抱きついた。私とお揃いで買った香水の香りがさらに私を安心させた。
「うぅ...ちゃん苦しいのですッ」
『さっきは1人にしてごめんね、来てくれてありがとう。』
「いえッ!ちゃんを見つけて近くまで行ったらイレイザーヘッドがちゃんを呼ぶ声が聞こえてきたので。もしかしたらバレてしまったのではないかと思って!間に合って良かったぁ」
『ほんとトガちゃんが来てくれなかったら、私あのまま捕まってたかも。』
「ちゃんが捕まるのはヤ!」
『私が去ったあとイレイザーヘッドどうだった?』
トガちゃんから身体を離して気になってたことを質問した。