第22章 林間合宿 3日目※
「良かった...相澤先生ッ、大変なんですッ」
ボロボロの身体で息を切らしながら俺に言う緑谷。上半身は服が破けたのか裸だった。
「伝えなきゃ...ッいけない事がたくさんあるんです、実は...ッ、あれ...さん!」
まだ施設に戻ってなかったのか、俺の後ろにいたを見て安心したような表情を見せる緑谷。
「良かった...さんも無事だったんだ!お手洗いに行くって言った後すぐにヴィランが襲ってきたから僕すごく心配してたんだ」
「ぇ、私は大丈夫だよ...」
緑谷が上半身裸だからなのか頬を真っ赤に染め、気まずそうに緑谷を見る。
でもそれは明らかに異性に好意を寄せている時のような好意的な目つきにも見えた。
俺はこんな状況でも初めて見るの顔に、そんな顔もするのかとつい見入ってしまった。
そして、先ほどの仮面女と少しでもコイツを重ねてしまったこと、自分の教え子に疑いの目を向けてしまった事に罪悪感を覚えた。
「あッ!それより相澤先生!僕マンダレイのところへ行かなきゃいけなくて!洸汰くんの事...お願いします...ッ!」
「おい、待て!」
早口で俺にそう言い、走り出そうとする緑谷を引き止めた。
まだヴィランが何人いるかも分からない。マンダレイへの伝達は緑谷に任せるとして、俺はさっきの仮面女と継ぎはぎの男を探しださねぇと。
「マンダレイにこう伝えろ。A組B組総員戦闘を許可する、と。」
いくらヴィラン相手でも、仮免も持たない生徒らが個性で危害を加えんのは規則違反になっちまうが....あとで処分受けるのは俺だけでいい。
頼んだぞ問題児、と付け加えると緑谷はすぐにその場を走り去った。
「、俺はヴィランを探しに行く。お前は洸汰くんと一緒に施設に、...っておい!」
「私も一緒に...ッ!待ってよイズクくん!」
俺の話も聞かずに緑谷を追いかけた。
チッ。
仕方あるまい、と俺は洸汰くんを抱えて施設へ走る。
...ッくそ。
なんで俺の生徒はこうも問題児ばかりなんだ...と施設に向かいながら勝手に走り去ったを心の中で毒づく。
だけど片隅にはやはり安心してる自分がいた。
ああそうか、と気づく
俺は自覚してる以上にアイツに惹かれているんだ