第22章 林間合宿 3日目※
相澤side
目の前の仮面女を、と呼んだ。自分でそう呼んでおきながら心の中ではそれを認めたくなくて、否定したくて必死に言い訳を探した。
何か言ってくれよ。
そう言いたいのに、喉を潰されて声が出ねぇ。
この仮面女、やはり格闘センスはプロ並みだ。
───お前の身体能力はプロ並みだ。
ふと個性把握テストと称して、初めてと戦った時にに言った言葉を思い出した。
また重なる影。
───委員長の隣がいいです。そこ。
初めてが雄英に来た日、教室で自己紹介をした後あいつはすぐに飯田を指差して委員長の、隣が良いと断定する様に言った。来てすぐのあいつに、なぜ飯田が委員長と分かった?
パズルのピースが1つ1つ埋まっていくような感じがした。
この仮面女がだと繋げてしまうような出来事ばかり頭に浮かぶ。
頼むから否定してくれ、そう願う自分がいた。
「相澤先生!!!」
の声が聞こえた気がした。の事を考えすぎてついに、幻聴まで聴こえるようになったか?
「相澤先生!!大丈夫ですか!?」
一瞬仮面女の膝が緩み、首だけを起こすとアイツの......の姿が視界に入った。この短時間の不安が一気に消えて、偶然に偶然が重なったのだと、俺の杞憂に過ぎなかったと思わせた。
「....!!施設にッ、逃げろ...!!」
仮面女の向こうにいるに叫ぶと、一気に力が抜けた。思っている以上に自分が安心している事に気がついた。
だからつい抹消の事も忘れて瞬きをしてしまった事で、捕縛布が仮面女の身体をすり抜けて立ち上がり距離を取られた。
「かはっ....くそ...ッ...」
必死に酸素を取り込んだ。喉が痛ぇ。
仮面女は捕縛布から逃れたのにも関わらず、俺に攻撃するわけでもなく、かといっていきなり現れたを攻撃するわけでもなくジッと見つめている。
仮面女を捕らえようと立ち上がるが、後ろから再び俺を呼ぶ声が聞こえた。
「先生!!!」
緑谷だ。背中にはマンダレイのいとこを背負っていた。
「ッ....!?」
クソ.....消えやがった、
緑谷に気を取られた隙に仮面女はいつのまにか消えていた。