第22章 林間合宿 3日目※
「なっ......」
捕らえるはずだった武器が急に無くなったらそりゃあ驚くよね。探しちゃうよね。
当然、イレイザーヘッドの視線は一瞬空を見上げるわけで。
私が欲しかったこの一瞬の時間。イレイザーヘッドを倒すには十分すぎる時間だった。
宙を飛んだ小刀が何回か空中で回転し、地面に小刀が突き刺さったと同時に私はイレイザーヘッドを仰向けに押し倒し、その上に跨っていた。
「くっ....そ....ッ」
が、この男も諦めが悪い。私の両手を後ろで
纏めたまま上半身を捕縛布で縛られた。
チッ
まだ個性は使えない。地面に刺さった小刀を取りに行こうにも、せっかく押さえつけたイレイザーヘッドを離すわけにはいかない。
足が使える......。
上半身を拘束されたまま、片足で関節を押さえ込み腕を抑えた。空いた方の膝をうまく使い首に膝を思い切り入れて気道を確実に潰していく。
苦しそうにもがくイレイザーヘッドと仮面越しに目があった。
その瞬間、私の頭には雄英に入って間もない頃の記憶が浮かんできた。
校長室で再会したイレイザーヘッドの顔、私に反応してた下腹部、2人きりのバスで額にキスされた事、ごくたまに見せる笑顔、保健室で頭を撫でられた事、施設の女子部屋での出来事、お風呂あがりに2人で話したこと
それらがいっぺんに映写機で投影されるかのように、連続的に頭に映し出された。
自分の呼吸が早くなるのが分かった。
なんで今出てくるの。
いずれはこの男だって殺さなきゃいけないのに。
いらない、いらないの。こんな感情は。邪魔になるだけだから。
イレイザーヘッドの気道を潰していた自分の膝から少しずつ力が抜けていくのが分かった。
「............ッ...?」
────え?