第22章 林間合宿 3日目※
ミスターと別れた直後すぐに、全身を温かい電流のようなものが走った。
──みんな!!
脳内にマンダレイの声が響いた。彼女の個性、テレパスだ。その声には少し焦りが含まれている。
耳をそばたて、木に手をついてマンダレイの言葉の続きを待った。
──ヴィラン2名襲来!他にも複数いる可能性あり!動ける者は直ちに施設へ!会敵しても決して交戦せず撤退を!
お、やっと気づいた。
自然と口角が上がる。
先にある施設へ目をやりながら、身体から仮面を取り出す。左右が黒色と白色に分かれた狐の形をしたお面。弔くんがUSJ襲撃の時にくれた仮面だ。
久々にこれ着けるな、と思いながら長い髪の毛を一つに纏めて仮面をつけた。この仮面を着けると不思議と気持ちがリセットされるかのようで落ち着く。
すると突然、視線の先の施設からイレイザーヘッドが出てきた。目の前の森から黒煙と荼毘の蒼炎が立ち上がのを見て呆然と立ち尽くしているようだ。
『あ......』
イレイザーヘッドの横には荼毘が立っていた。イレイザーヘッドは気付いてない様子。
荼毘、といってもトゥワイスの分身で造られた荼毘なんだけど。
私もトゥワイスの個性を見るのは初めてで、分身と言われなきゃ本物と信じてしまうほど上手く出来ている。
荼毘とイレイザーヘッドが何やら話している。声までは聞こえてこないが、ちゃんと分身でも意思疎通ができるらしい。
『く...ッ...ふふ...』
それにしても......あの荼毘がイレイザーヘッドにやられている。コピーなので本体より力は劣らないらしいけど、まさかここまでとは。やられっぱなしの荼毘を見てつい、吹き出してしまった。
この騒動が終わったらコレをネタにして荼毘を揶揄ってやろう。
「相澤先生!!」
突然、自分の背後から聞こえてきた声を木の上から見下ろす。
そこにはと飯田くん、峰田くん、甲田くん、尾白くんが私が立っている木を抜いて、施設へ走っていくのが見えた。
この4人は私が、肝試しの広場から抜け出す時にまだ出発してなかった組だ。
あれ?デクくんは?
周りを見てもデクくんがいない。どこかで戦ってる?いや、マンダレイのテレパスでは交戦はしないで撤退を、と指示がでていたはず。
嫌な予感がするけど、私はここを離れるわけにもいかないし...。