第22章 林間合宿 3日目※
たとえそれが罠だと分かっていても反射的に、ほんの一瞬視線は上空に向けてしまうわけで。仮面女はその一瞬を見逃さなかった。
そこで体が揺れた。仮面女に鳩尾に蹴りを入れられたのだと遅れて分かる。やられた、と思った時にはすでに遅かった。
「くっ....そ....ッ」
気付いた時にはコイツに押し倒されていた。せめてと思い俺に跨る仮面女の両手を後ろで纏めて上半身を捕縛布で拘束した。
が、コイツも怯む気配がない。
手を後ろで縛られた格好のまま、膝で俺の腕を押さえた。関節をうまく抑え込んでくるものだから、身動きが取れない。見た目は華奢だがやはりこの女、侮れない。
「かはっ......」
そのうち身体の位置を変え、脚をずらし、膝の部分を俺の首に押し付けてきた。体重がかけられ、気道をグッと潰された。コイツ只者じゃねぇ。
やっべぇ......
息ができねぇ......
意識を手放しそうになった瞬間この仮面女のさっきの戦い方が脳裏をよぎる。
何故かこの仮面女の構える姿勢が、立ち回り方が、仕草が、アイツの............の残像と重なって見えた気がした。
意識が朦朧とする中、だから俺は無意識にそんな事を言ってしまったのかもしれない。
そんなはずねぇのに。
「............ッ...?」