第22章 林間合宿 3日目※
近づきながら仮面女を観察した。上下黒の半袖短パンと動きやすそうで、個性を読ませない服装。見た感じ武器は持ってなさそうだ。
USJで戦った時も俺が抹消してたのもあるが個性を一切見せなかった。それに個性を消してたのにも関わらず素の力はプロ並み。油断は出来ねぇ。
仮面女もこちらを窺ってるのか、なかなか動かない。そして深呼吸をしたのか大きく肩が動き一歩、二歩とこちらへ近づいてきた。
『......いくよ、イレイザーヘッド』
仮面の中でくぐもった声が聞こえた。
その瞬間、三歩目で地面を蹴り瞬く間に俺へ駆けてきた。撹乱させるための捕縛布を全て避けて空中をとられた。
大きく振り上げた仮面女の足を捕縛布で捕まえた。
『捕まる気はないから』
......は?
仮面女がそう言った瞬間、足を捕らえていたはずの捕縛布が足をすり抜けた。いや、体内に吸収されてる?
「なにっ....」
そしていつの間にか右手には、先ほどまで無かったはずの小刀を握っていた。コイツの個性か?
八百万のように、体内で物を造る個性か?
いや、それじゃあ身体に捕縛布が消えた説明がつかねぇだろ。
チッ
考えてる暇はねぇ。
すぐに個性を使い仮面女の個性を消した。そうすると身体に吸収されかけてた俺の捕縛布は弾かれるようにしてコイツの身体から離れた。
「それがお前の個性か」
『チッ......』
個性の発動の確認なのか、左手を開いたり閉じたりを繰り返している。右手にはさっきの武器を持ったままだ。
右手の小刀を掌の中でぐるりと構え、こちらに向かって走ってきた。目をジッと凝らす。右腕の流れが、軌道が、目で追えた。俺の身体を小刀で左から斬りつけようとしている。
「予備動作がいちいちデカイな。バレバレだ...ッ...!」
捕縛布で右手に持つ小刀を捕らえようとした。
が、無い。また個性か?いや個性は俺の抹消で使えないはずだ。
その瞬間すぐに上空で小刀が空を切る音が聞こえた。
「なっ......!!」
コイツ武器を投げてやがった...