第5章 看病※
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『はぁ......』
1人お風呂場に入った私は扉のすぐ向こうにいる弔くんに聞こえないよう小さくため息をついた。
弔くんに上半身だけ脱がせてもらった。
別に恥ずかしさが無かったわけではない。
けど、弔くんが淡々と脱がしていくから...
私ばっか緊張して馬鹿みたい...
うぅ...早く終われ...
弔くんが洗いやすいように、腕が上がるギリギリのところで髪の毛を纏めてお団子にした。
それにしてもお腹のアザすごいな。
これちゃんと消えるのかな。脳無ちゃん強すぎでしょ。
『はぁ......』
2回目のため息をついた。
『弔くん入ってきていーよ』
お風呂場のドアが開き服を着たままの弔くんが入ってきて、肩に力が入る。
『前は自分で洗えるから...背中と頭お願いしてもいい?』
「あぁ。」
私は弔くんに背中をむけたまま言うと弔くんはボディソープを手に取り、ボディタオルで丁寧に洗い始めた。
脇、肩、耳の裏まで...
人に身体を洗ってもらうってこんなに気持ちいいんだなぁ。人様にやってもらいながら私は呑気にそんな事を考えていた。
「なぁ......」
『んひゃっ!!』
洗ってる間ずっと静かだった弔くんが洗ってた手を止めいきなり耳元で艶のある低い声で囁くもんだから、変な声が出た。
『弔くん、...なに?』
首だけを後ろへ向き弔くんを見上げる。
「お前さ、個性使って着てた服体内に吸収すれば俺が脱がさなくても脱げたんじゃねぇの?」
『ぁ......』
確かにそうだ。なんで。なんでそんな簡単な事思いつかなかったんだろう。
あぁ......私の馬鹿.........それじゃまるで───
「使わなかったって事は、そーんなに俺に脱がされたかったのかなぁ?ちゃん」
『んぁっ......ちがっ......』
私の耳元で色っぽい声で囁く弔くんに身体が今まで感じた事のない感覚に襲われる。
なにこれ...くすぐったい...違う。
くすぐったいとかじゃなくて...なんなの...
その間にも弔くんは、私の耳たぶを甘噛みしたり、耳のふちを舐められる。クチュクチュと官能的な水音が私の知らない感覚を掻き立てていく。