第22章 林間合宿 3日目※
相澤side
補習組を施設に戻し、授業をしようとしたところでそれは起きた。
「ブラド、今回は演習を入れたいんだが」
「おう。俺も思っていたぜイレイザー。言われるまでもなく──」
ブラドと今日の補習内容について話してたところを、いきなり全身に電流のようなものが走った。とうとうこの合宿の疲れが出てきたか?と一瞬思ったがどうやらそれは俺だけでなく、ブラドにも、席に座っていた生徒6名も感じたようだ。
──みんな!!
突然脳内にマンダレイの声が響いた。マンダレイのテレパスだ。
こんな時間になんだ?彼女は今、外で肝試しをしているはず。
マンダレイの声に含まれる奇妙な焦燥感が俺に警鐘を鳴らした。
──ヴィラン2名襲来!他にも複数いる可能性あり!動ける者は直ちに施設へ!会敵しても決して交戦せず撤退を!
最悪だ。
考えたくもない事が起きた。
「ブラド、ここ頼んだ。俺は生徒の保護に出る」
ブラドの返答も聞かずに、部屋を出た。
「......んだよ、これ...」
施設の外に出ると森のあちこちで青い炎らしきものと黒煙が上がっていた。
これはまずい。早く生徒らの保護に、と足を踏み出そうとしたところで横から声をかけられた。
「心配が先に立ったか?イレイザー。」
全く気配に気づかなかった。俺に手を伸ばしかけたその男は手から青い炎を出してきた。
「...くっ.....!」
この森の火事はこの男の仕業か?
咄嗟に躱したが触れてないのに、まるで火傷したかのように熱気がすごい。
「邪魔はよしてくれよ。プロヒーロー。」
「出ねえよ」
再び個性を使おうとしてくる男を見て、抹消で個性を消し捕縛布で拘束し地面に押さえつけた。
「はッ...いってェ...」
「目的、人数、配置を言え」
「ッなんで...」
「こうなるからだよ」
質問に答えない男の左腕を折った。
「次は右腕だ。合理的にいこう。足までかかると護送が面倒だ」
「焦ってんのかよ?イレイザー」
挑発するように言ったつもりだがどこか余裕そうなこの男に苛立ちと不安を覚える。
「相澤先生!」
突然聞こえてきた俺を呼ぶ声。声の方を見ると飯田、峰田、甲田、尾白が息を切らしながらこちらに向かっている。
無事だったか、と安心したのも束の間その一瞬の隙に拘束していた男が捕縛布から逃れた。