第22章 林間合宿 3日目※
『あ......取った!!ミスター取ったよ!!』
小さな口を開けて中のビー玉を見せてきた。
「へえ。やるじゃないのちゃん。」
楽しいオアソビが終わってしまった事を残念に思いながらも、キャッキャ喜ぶちゃんを見て唇が弧を描く。
『はやく、コレ解除して?』
「そうだなぁ。頑張ってたちゃんには、ちゃーんとご褒美やらねぇとなぁ?」
さあ、種明かしの時間だ。
自分の顔の前に手を持ってくる。
ちゃんが何か言いかけたがもう遅い。
パチン、と指を鳴らすと一瞬ちゃんが目を見開きソレに気付いたのかジッと俺を見ている。
『っ、ミスター!!!騙したね.....?』
「俺はアレに洋服を圧縮した、なーんて一言も言ってないけどなぁ」
胡座をかいた膝の上で頬杖をつきちゃんを見る。顔を真っ赤にさせ口の中の飴玉をコロコロ転がしている
ハ...、ほーんと可愛いんだから。この子は。
「ちゃんがいきなりそんな姿になるのが悪いんだぜ?」
曖昧で説得力のない弁解を口にしながら、ポケットからビー玉を取り出し指を鳴らす。今度こそ出てきたちゃんの洋服を渡した。
『もう......超時間の無駄だったじゃん...』
「時間の無駄?ハハ、まさか。ちゃんが必死に俺にキスしてくる顔が見れたから超有意義な時間だった」
目をまんまるにし、どんどん顔を赤らめるちゃん。
『いつから見てたの......』
「んー、最初から?」
そう言うと口をぱくぱくさせて、下を向き黙り込むちゃん。名前を呼び顔を上げたところで唇に触れるだけのキスを落とした。
『ん......』
「本当に可愛かった」
『意地悪....』
「じゃあ、俺もそろそろ自分の持ち場に戻るとするよ。頑張ってね、ちゃん」
仮面と目出し帽、シルクハットを被り例のターゲットの生徒を探しに暗い森の中へ入っていった。