第22章 林間合宿 3日目※
もー!こんな事してる場合じゃないのに......!
諦めて部屋へ戻る?
いや、でも自分の手持ちの洋服は全て生徒達にも晒し出しているし、こんな状況だ。一度施設の中に戻ってしまったらそう簡単にイレイザーヘッドもブラドキングも外に出してくれない気がする。
チラリともう一度目の前のミスターの顔を見た。余裕そうな雰囲気を醸し出して、時折カランと音を立てて舌の上にビー玉乗せて私に見せつける素振りを見せている。
弔くんや荼毘じゃあるまいし。
ミスターの意地悪......。
『....わかった、やればいいんでしょ......。その代わり、絶対に変な事しないでね...』
「変な事......ねぇ。そりゃあちゃんの頑張り次第だ。」
ミスターを無視して、木の幹を背もたれにするようにしてミスターを座らせ、私はミスターの前の太い木の枝に跨った。
「いつでもどーぞ。ちゃん。」
目を瞑り余裕綽々なミスター。こんな時だと言うのに整ったミスターの顔につい見入ってしまう。あぁ。早く取るんだ。ミスターの口の中からビー玉を取るだけ。
跨っている木の枝に両手を着いて、ミスターの方へ身体を滑らせてミスターに近寄る。両肩に手を置き、ミスターの唇に自分の唇をゆっくり近づける。ふと鼻に入ってくるミスターの匂いが私を後押しした。
目を瞑り自ら唇を重ねた。自分から開けようとしないミスターの唇を舌を割ってこじ開ける。
どこにあるか分からないビー玉を舌を使って探して出そうとするがすぐにミスターの舌が私を捉えた。
『ふ....ぁ......みす.....た...っ...んん...』
「んー?ちゃん、そんなんじゃあ俺から取り返せないよ?」
ミスターが顔を離すとつう、と透明の糸が引いた。
『だってミスターが......ッ...』
「はい、もう1回ね?」
私の言い訳など無視で意地悪そうに笑うと、舌の上にビー玉を見せるミスター。
大丈夫。ちゃんと、ビー玉はある。今度こそ......
目を瞑るミスターに再び唇を重ねる。さっきよりも少し強引に舌を入れてミスターの舌を避けてビー玉を探す。カラン、とミスターの歯に当たる音がした。