第21章 林間合宿 2日目
相澤side
「よし、今日の補習はここまでた。明日も早いからしっかり休めよ」
「「「はーい......」」」
時刻はもうとっくに日付を跨いでいた。
早朝から夕方まではみっちり生徒らのトレーニングを見てやり、その後は補習組の勉強を見てやらないといけない。終わればブラドと翌日のスケジュールの確認やら何やしてたら睡眠時間はたった数時間程度。さすがに身体も堪えてくる。
「ブラド、この部屋の戸締りを頼む。俺は入口の消灯と施錠を確認してから部屋へ戻る。」
「おー、悪りぃなイレイザー。頼んだぜ。」
ブラドと補習組から離れ、入口まで移動する。補習の間我慢していた欠伸が止まらない。何回目か分からない欠伸をしようとしたのをピタリと止めた。
ん?
入口のガラス扉が少し空いている。
生徒らの入浴時間が終わった後に、ここの鍵はかけたはずだが......。
不自然に思いふと外へ視線をやると、真っ暗でよく見えないが木の側に誰かいるのが分かった。
誰だ?
目を凝らしてジッと見る。それはほんの一瞬の出来事だった。
雲に隠れていた月の灯りが、ゆっくり木の影晴らし徐々にその女を妖しく照らしていく。
「......?」
そう呟く自分の声を聞いた。
見た限りの近くには誰もいない。
月灯りで照らし出されたの口が動いていたようにも見える。口を動かす彼女の表情は何者かに状況を報告するスパイじみた気配があり、企みを抱えた様子にも見えた。
すぐに月は雲で隠れてしまい、の姿も陰に溶け込まれていく。
チッ
そこでなにしてやがる......
用が済んだのか、ゆっくりこちらへ戻ってくる。その手には携帯らしきものも、それらしい物も持っていない。もう一度が立っていた場所を見るが以外の人影は見当たらない。
俺は死角でを待つ事にした。