第21章 林間合宿 2日目
『今、アジトなんだよね?私の部屋に入って洋服を探してほしいの。』
「洋服?」
『万が一、私もヴィランとして加勢する時用の。今回、持ってきた何着かはもう生徒の前でも着ちゃったから。』
「ほほお、合法でちゃんの部屋を物色できるってワケだ。ちょっと待ってな」
通信機の中から、微かに足音が洩れてきこえる。
ドアが開閉する音がつづいて、それからミスターの入ったよ、という声が聞こえた。
『入ってすぐ右にタンスがあるでしょ?下から2番目の引き出しに洋服が入ってるんだけどなんか動きやすそうな──』
「へえ、ちゃん枕は柔らかいのが好きなんだ。お、こーんなところにお菓子隠しちゃって悪い子だなぁ」
私の話なんてそっちのけで部屋を物色し楽しんでるようなミスターの声。
別にやましいものなんてないけどさ......。
『ね、ちょっとミスター!あんまり部屋の中ジロジロ見ないでよ......!』
「はは、ごめんって。おじさんつい楽しくなっちゃって。で、タンスの中の洋服が何だって?」