• テキストサイズ

【ヒロアカ】白は黒になるが黒は白にはならない

第21章 林間合宿 2日目




血の滲むようなトレーニングが終わり、A組B組全員が施設前に集合していた。


「さ!昨日言ったね!世話を焼くのは昨日まで!!」

「己で食うメシくらい己で作れ!!カレー!!アッハハハ!!!」

疲れ果てた私たちの前に、テーブルの上に食材を平らげてピクシーボブが言った。そして隣のお腹を抱えてケラケラと笑う、個性サーチを持つプロヒーロー。デクくん曰く、名はラグドールというらしい。


「ハッ!災害時など避難先で消耗した人々の腹と心を満たすのも救助の一環!!!これも訓練のうちだ!みんな世界一上手いカレーを作るぞ!!」

これから自炊、という現実に全員が肩を落としている中委員長だけが真面目なのかポジティブなのか、握り拳を掲げて張り切っていた。



委員長の素早い役割分担でそれぞれが与えられた役割を全うした。



小さい頃、黒霧に何回かお料理教えてもらってたんだけどな...

私はひたすら食材を切っていた。けれど、切っていた人参はお世辞にも綺麗と言えないようなものばかりで、どれも歪な形をしている。

「ふはッ!もしかしてちゃんお料理とか苦手なん?」

両手に薪を抱えた麗日さんが私の横で止まり吹き出した。

『小さい頃はくろ...いや、ぜんぜん料理しないかも。』

黒霧と言いかけた言葉を飲み込み、はっきりしないと言った。

「なんだー。なんか安心やわー」

『安心?なにが』

安心、安心、と1人で何度も頷く麗日さんに今度は私が質問を返す。

「だって、ちゃん戦闘も強いし、可愛いし、頭も切れるし完全無欠!って感じやったからそんなちゃんも出来ない事あるんやなーって!」

...私にだって出来ない事くらいたくさんある。
所在は分からないけど、オールマイトとの戦いで先生を守れなかった事。私がもっと強かったら...。つらつらと言葉を述べる麗日さんに、包丁を握る手に力が入るのが分かった。



「ってか、爆豪くん包丁使うのうま!!意外やわ...」

いつの間に私の目の前にはかっちゃんがいて、トントントン、と小気味良い音と共に食材を刻んでいた。その姿をみた麗日さんが感嘆の声を漏らしている。

「意外って何だこら包丁にうまい下手なんざねぇだろ!!」

息継ぎもせずに早口で殴るような勢いで言うかっちゃん。

/ 395ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp