第20章 林間合宿 1日目※
もう動きたくない...。早く寝たい...。
脱衣所で私は、荼毘に激しく抱かれ疲れ切った身体に鞭を打ちゆっくり、ゆっくりとスローペースで着替えていた。
持ってきたショートパンツを履き、上は火照った身体を冷まそうとキャミソール一枚だけを着た。
ドライヤーで髪を乾かしながら鏡に映る自分の首元を見る。
結局、荼毘にこの痕の事聞けなかったな。
次会った時聞けばいいか。
部屋に戻ろうとゆ、と大きく書かれた赤い暖簾をくぐる。
『あ......』
「お......」
私が言葉を発したのと、目の前の同じくゆ、と大きく書かれた青い暖簾から出てきた男が言葉を発したのはほぼ同時だった。
できれば今1番会いたくなかった人......
イレイザーヘッド
けれど、上下黒のスウェットに、いつも無造作に下ろされた黒髪は後ろで綺麗に1つに纏められていて、普段捕縛布で隠れた首筋も今は露わになっている。見慣れないイレイザーヘッドに色気のようなものを感じてしまい、つい魅入ってしまった。
このまま無視して通り過ぎるのがいいか、なにか声をかけた方がいいのか迷っているとイレイザーヘッドが先に口を開いた。
「......大丈夫か、体調」
『......あ、はい。』
私から目線を逸らし、頬を人差し指で掻きながら言うイレイザーヘッド。私が返事をした後、目配せをし歩いて行く。
ついて来い、ってこと?
イレイザーヘッドの後ろを歩く。普段のイレイザーヘッドの芳香に混ざって、まだ真新しいシャンプーの匂いが鼻腔をくすぐる。
うっとりしてしまうような香りを堪能していると突然止まったイレイザーヘッドに気づかずそのまま背中にぶつかってしまった。
あれ、前にもこんな事あった気がする。
『ぁ......ごめんなさい...。』
「別に」
ピ、ピ、とイレイザーヘッドが何か操作する音が聞こえ、ガタンと音が響いた。何かと思いイレイザーヘッドの背中から首を覗かせる。
「ほら、飲め」
ん、と押し付けるように渡されたのはお水の入ったペットボトル。
『わ、ありがとうございます。』