第20章 林間合宿 1日目※
しばらくしても返事がない。
聞き間違いか?んなわけねぇ。確かに俺は、はっきり聞いたんだ。
おい、と再び声をかけようとしたところで女風呂の方から小さく声が聞こえてきた。
『先生、わた...ッ...しで...すッ.....ッ....』
「その声、か?」
小さな声でなぜか途切れ途切れで話す声の主はのものだとすぐに分かった。が、またもや俺の質問に対して応答がない。
男風呂と女風呂を区切る竹垣一枚向こうにいる裸体のを想像してしまう。先程自分に言い聞かせた言葉などとうに忘れたかのように、自分の意思とは関係なく、どんどん熱を持ち始めるソコに自嘲する。
『は....ッ...い....』
少し間を開けて返ってきたの声は耳をよく澄ませないと聞こえないほどで、やはりどこか切れ切れでか細い声は湯口から出る水音にすらかき消されそうなものだった。
「...大丈夫か?」
そんなについ体調を案ずる声を投げかけた。
『は.....ッい...ちょっと...のぼせちゃっ...てッ......!!』
今度はすぐ返ってきた言葉。
だがやはり、その口調は正常とは思えない。けど、が大丈夫というなら大丈夫なのだろう。それに俺には確認する術がない。
「そうか、生徒の入浴時間はとっくに過ぎてる。さっさと出て明日に備えろ。」
『ぁ....ぃ、ッ.........はいいッ......!!』
僅かに小さく呻き声のような声が聞こえたと思えばどんどん語調が強くなったの声。疑問にも思う。が、何度も心の中で唱えるが俺には確認する術がない。
それから俺はに対して何も言わなかった。アイツが大丈夫と言うんだからそうなんだろう。
がのぼせているにも関わらず、先ほどよりも更に主張し始めた下腹部にまたもや自嘲する。
ようやく出ていったのか、隣の女風呂からカラカラ、と戸を引く音を聞きながら俺は今度こそ目を閉じた。