第20章 林間合宿 1日目※
『ん....ッ.....ぁ......』
起きろって呼ばれてる気がした。
先生のこと今必死に追いかけてたのに......
目が勝手に開いて光が少しづつ入ってくる。
怖い顔してこっちを見ているイレイザーヘッドがいたような気がした。
『...んん...ぁ...イレイザー、ヘッド...ふふ...』
どこまでが夢だろう。見たこともない表情したイレイザーヘッドが目の前にいてつい笑ってしまった。
あぁ、だめ。また瞼がどんどん落ちてくる。
「......おい、このまま本当に襲うぞ」
本能なのか、その言葉だけはしっかりと拾った私の耳。
『ひっ!?ぇ...ゃ...なんで...ッ...』
はっきり聞こえた言葉に反射的に身体を起こした。
下着姿の自分、なぜかここにいるイレイザーヘッド。
なんで?なんで?頭が追いつかない。無意味だと分かっていても、私の手は咄嗟に布団を手繰り寄せて胸の前で隠すようにした。
『な、なんで...イレイザーヘッド.....いるの...」
「何度も外から声を掛けたが、一向に返事が無いからな。心配で戸を開けたらこのザマだ。直に他の生徒ら戻る。その後すぐ夕飯だ。着替えたら外に来い」
そう言って襖をパタンと閉め部屋を出て行ったイレイザーヘッド。
イレイザーヘッドがいなくなった部屋で再び後ろに倒れた。
あぁ、そうだ。そうだ。私、施設に戻ってきたあとにそのまま着替えもしないで......。
ポツポツとある記憶を拾っていく。
恥ずかしさでイレイザーヘッドの話なんてちっとも全く入ってこなかった...
ええと、何て言ってたっけ。
そう、夕食だ。みんなが戻ってきて、これから夕食なんだ。
頭からイレイザーヘッドを追い出すように、夕食、夕食、夕食、夕食と頭の中で何度も唱え、ジャージに着替えて施設の外へ向かった。
それなのに
──このまま本当に襲うぞ
同じ言葉を何度唱えてもその言葉だけが耳にこびりついたように、ちっとも離れなくて。