第20章 林間合宿 1日目※
「ずっと気になってたんだけど、それは何よ?」
俺がそれ、と指差したものを見て固まるちゃん。その表情は、どう説明するか、白を切るべきか、認めてしまうべきか、どうとでも取れる表情だった。
が、痺れを切らした荼毘が口を開いた。
「あぁ。コイツは気持ちよくてイッちゃうと身体に隠してるもんが出てきちゃう、変態個性なんだとよ。」
なるほど、ねェ?
淡々と揶揄い混じりに言う荼毘だが、ちゃんが否定しないと言うことはおそらく真実なんだろう。
だから荼毘はさっき驚かなかったわけだ。
同時にそれは、荼毘がちゃんに手ェ出したのが今回初めてじゃないって事も示唆しているわけで。
「ヘェ。それは実に興味深い......。今度おじさんもこの目で確かめなきゃな。」
『っ!......もー、この話は終わり......!』
俺の手で乱れるちゃんを想像してしまい、ついそんな事を言うと耳まで顔を真っ赤にさせながら散らばった物を身体に吸収させた。
ちゃんが、大きく伸びをし乱れた制服を治してるときにソレは見た。
左右の首の付け根あたりにそれぞれ付けられた、赤い印と噛み跡。
1つはさっきの荼毘だろう。もう片方は死柄木か?
「あーあ。そーんなマーキングされちまって......おじさんが入る隙はくんねぇってか?」
「さァな」
鼻を鳴らしニタニタと笑う荼毘。
ただの番犬じゃなくて独占欲剥き出しの番犬じゃねぇか。おー怖い怖い。
『2人とも平気な顔でここにいるけど、一応!ここ!ヒーローの私有地だからね、2人は不法侵入だからね!』
何も知らないちゃんがいつものように笑いながら俺らに言ってきた。
「ハハ、ちゃんがそれ言う?」
「ヴィランがヴィランに一般常識説くなよ」
宿泊先へ向かうちゃんの背中を2人で見送った。