第20章 林間合宿 1日目※
「ずっと気になってたんだけど、それは何よ?」
それ、と言われてミスターが指さしてるのは私の足元に散らばったさっきの荼毘との行為で落ちてきた戦闘用の小刀や仮面。見れば分かるものをわざわざ聞いてくるという事は、どうしてそんな所にそんな物が散らばっているのかが聞きたいのだろう。
これを副作用と呼んでもいいものなのか。とにかく、つくづくこのふざけた副作用が嫌になる。
「あぁ。コイツは気持ちよくてイッちゃうと身体に隠してるもんが出てきちゃう、変態個性なんだとよ。」
隠すつもりもなく、かと言って自分からなんて説明しようか言葉に迷っていたら荼毘が冷笑しながら言った。
確かにそうなんだけど..。変態個性って...。
それにしても、荼毘がはっきり声に出した事で今この現場が先ほどの荼毘との行為を肯定してるようで余計に恥ずかしくなる。
まぁ、恐らくミスターにも見られてたし、そういうことをしてたのは事実なんだけども。
「ヘェ。それは実に興味深い......。今度おじさんもこの目で確かめなきゃな。」
『っ!......もー、この話は終わり......!』
いたたまれない気持ちになり、ミスターから受け取った通信機とガスマスクと散らばった物を全て身体に吸収させた。早くこの場から去ってしまおうと、乱れた制服の襟を直し軽く腕を伸ばしストレッチをする。
「あーあ。そーんなマーキングされちまって......おじさんが入る隙はくんねぇってか?」
「さァな」
マーキング?
仮面の下で笑うようなミスターの声と、ニヤニヤと笑う荼毘。2人の会話の意味は分からなかったが笑う2人を見て、特に悪い話ではないのだろうと思い突っ込まなかった。
よし、そろそろ行きますか。
『2人とも平気な顔でここにいるけど、一応!ここ!ヒーローの私有地だからね、2人とも不法侵入だからね!』
「ハハ、ちゃんがそれ言う?」
「ヴィランがヴィランに一般常識説くなよ」
自分で言っておきながら、たしかにと軽く口の端を上げながらも笑う2人に背を向けて宿泊所へ向かった。