第20章 林間合宿 1日目※
「ハハ、楽しそうでイイねぇ。俺も混ぜてよ。」
木の上からヒョイと降りてきたのはミスターだった。一体いつからいたのか。まさか見られてた?そもそもどうしてここにいるのか?今になりどうしようもない恥ずかしさに襲われる。
『いや、違うの、これから合宿所に向かおうとして......』
私は聞かれてもないうちから弁解を口にした。
「フ.....今さっきまではいいところだったんだ。」
いちいち言葉を強調させ、牽制するように私の肩を抱き、口元に弧を描きながらミスターに言う荼毘。
「お前さんがまだ作戦開始時刻でもねぇのに、現地に行く、なーんて言うから死柄木が不信がってたぜ?」
「ハッ...よしてくれよ。死柄木が、じゃなくて死柄木も、だろ?なァ?ミスター」
何のことやらと大袈裟な仕草でいかにも困った風に両手を上げ肩をすくめるミスター。
あ、そうそう、と着ている黒いベストのポケットから水色のビー玉を2つ取り出した。片手で指をパチンと鳴らして圧縮を解除すると耳につけるタイプの通信機のような物とガスマスクらしき物を渡された。
『なに?この可愛くないマスク』
肩に回されていた荼毘の手を無言で振り解きミスターから渡されたものを眺める。
「ハハ。トガちゃんとおんなじ事言ってやんの。その小さい機械の方は全員に通信できるようになってんのね。個別通信はできねェが、何か用ある時とか襲撃のタイミングはそれで連絡してほしいな。」
「お前はまだ会ってねェかもしれねぇが、3日目になったら新しいメンバーが3人来る。ムーンフィッシュ、マスキュラー、マスタード。1人ガス使いがいるから、一応持っとけ。」
『了解。』
2人にそう返したものの、心の中ではトガちゃんと感性が似てきたのかも、と呑気に考えていた。
「.........んで──」
話題を変えるかのように言葉を切り出したのはミスターだった。