第20章 林間合宿 1日目※
森を進むと左右に木がどんどん増えてくる。風のせいか、木の枝が左右に揺れ、音ともつかない音を立てている。空気を震わせ空を撫でる音だ。
そういえば連合のみんなはいつ来るんだろう...。もう来てるのかな。誰でもいいから連合のみんなに早く会いたい。今回弔くんは来ないって言ってたけど。
ピクシーボブが創り出す魔獣を次々と倒しながら考える。
背の高い木の上に登り、宿泊施設の方向を確認する。
方向は間違ってない。
このまま一気に進むか。
「.....よォ、」
『...ぇ....?...あッ.....!』
木の下から突然呼ばれた自分の名前に驚いた。声の主を確認しようとしたが、一瞬で視界がくるりと変わり空と緑の葉が私から遠ざかる。足を滑らせたのだと遅れて分かる。
私いま落ちてる──
この高さなら骨折くらいで済むだろう。
体制を整える間もなく諦めたその時、地面に落ちたと思った衝撃は思いのほか柔らかかった。
あれ...痛くない。
無意識に瞑っていた目をゆっくり開けると、見慣れた青い瞳が私を横抱きにして見下ろしている。
『あ.....荼毘!どうしてここに?』
助けてもらったことよりも、荼毘がここにいる事に嬉しくてつい口が綻ぶ。
「暇だったんでな....お前の様子を見に来た。学校は...楽しいか?」
ニヤニヤと笑いながら言う荼毘に、楽しいわけがあるか、という意味を込めて荼毘を睨んでから口を開いた。
『荼毘、それ皮肉?イレイザーヘッドにいきなりこんな森に置き去りにされて、歩いて施設まで来いって言われて、しまいには変な魔獣も出てくるし...あ、それより荼毘、下ろして?助けてくれてありがとう。』
一度出た不満は止まることを知らない。
助けてくれたお礼を言い、ゆっくり私を下ろされると目線が私と合うように少し屈み、荼毘の唇が私の唇に軽く触れた。
『ちょ...ッ.....荼毘...?』
「これから林間合宿襲撃すんだから、これくらい許せ」
『意味わかんなっ...ん...ふ..んぁ...ッ...』
言い終わる前に再び口を塞がれてしまい、容赦なく荼毘の舌が入り込んできた。熱い舌は歯列をなぞり、上顎をなぞり私の舌を吸い上げる。それだけで私の下腹部からは熱いものが、とろりと溢れた気がした。
外でこんな事いけないのに...