第20章 林間合宿 1日目※
バスを走らせ全員が降ろされたのは、森と山を一望できる拓けた場所。柵の下は森が広がっていた。崖の上と言っても過言ではない。
B組がいない?
他に人気が無ければトイレも食べ物を買う場所もないので休憩場所というには相応しくないのでは?とも思う。
その疑問は私だけでなく他の生徒たちも感じていたようだった。
「つか、ここパーキングじゃなくね?B組は?」
「ト、ト、トトトトイレはーー!?」
切島くんが、キョロキョロ辺りを見回しながら言い峰田くんはトイレを我慢しているのか下半身を押さえながら、イレイザーヘッドに聞いている。
全員が不審に思っていると近くに止めてあった黒い車から、ヒーロースーツだろうか、猫のような格好をした女の人2人が出てきた。
「よう!イレイザー!!」
「ご無沙汰してます。」
イレイザーヘッドが降りてきた女性2人にペコリと頭を下げた。
「煌めく眼でロックオン!」
「キュートにキャットにスティンガー!」
「「ワイルド・ワイルド・プッシーキャッツ!!」」
あぁ。この人たちがプッシーキャッツ......。
って事はここが合宿所?こんなところが?
彼女たちのいきなりの登場と派手な挨拶に生徒全員が棒立ちだった。
「今回お世話になるプロヒーロー、プッシーキャッツ。マンダレイとピクシーボブだ。お前ら挨拶しろ」
「「「よろしくお願いします!」」」
「ここら一帯は、私らの所有地なんだけどね、あんたらの宿泊施設はあの山の麓ね。」
マンダレイが遠くの山を指差して言った。
「「遠っ!!」」」
えぇ......。こんなところで急に降ろされて、まさかあの山まで歩けとか言わないよね......
「これってもしかして...」
「いやいや...」
「アハハ......バス戻ろうぜ......早く...な?」
生徒全員がただならぬ空気を察して、バスに向かって一斉に走り出した。
「今は、午前9時30分。早ければ12時前後かしら?」
バスへ戻る生徒を嘲笑うかのようにマンダレイが尻尾を振り楽しそうに言った。
「悪いね、諸君。合宿はもう始まってる。」
今度はイレイザーヘッドがそう言うと
先頭を走っていた上鳴くんがバスのドアに手を伸ばしたところで、ピクシーボブが立ちはだかる。