第20章 林間合宿 1日目※
流されるままバスに乗り込んだ。
運転席の後ろにイレイザーヘッドが座っていた。
その後ろの轟くんの隣が空いていたので、そこに座ろうと轟くんに声をかける。
『轟くん、隣、いい?』
「あぁ。」
『ありがとう。』
バスの中をもう1度確認するが、やっぱりオールマイトがいない。
弔くんは、かっちゃんを餌にするから合宿にオールマイトがいなくてもいいって言ってたけど。
まぁ、いないなら仕方ない。
「お前ら、1時間後一旦バスを停車させる。そこで休憩だ。」
「「「はーい!!」」」
イレイザーヘッドの言葉を本当に聞いてるのだろうか、ほとんどが適当な返事をしていた。
しばらくしてバスが走り出す。後ろの席では女の子たちがしりとりをしていたり、誰の趣味だろうか激しめな音楽が流れていたり、委員長が全員に向けて、走行中は立たないように!と大声で捲し立てていたのでとても騒がしかった。
隣の轟くんと私はといえば特に喋る事もなく轟くんは窓から流れる景色を見ていたり、私は前に座っているイレイザーヘッドの寝癖だろうか、所々跳ねている髪の毛をぼーっと見ていた。
あ、そうだ...。いい機会だし聞いてみるか。
『ねぇ、轟くん。質問があるの。』
「なんだ?」
窓から視線を私に移しこちらを向く轟くん。
あ......。
近くで初めて見たけど轟くん、左右で目の色違うんだ。左目、荼毘と一緒の色だ、綺麗。ほんの一瞬荼毘と轟くんが重なったような気がした。
『轟くんも、個性複数持ちなの?』
保須で見た轟くんの個性を思い出しずっと気になっていたことを聞いてみた。
「......ん?あぁ......いや、俺の個性は半冷半燃。左で炎、右で氷を出す。あくまで1つの個性だ。複数持ちってわけじゃねぇ。」
『ふーん。そうなんだ。.........ひっ!?』
「どうしたんですか。相澤先生。」
前に座っていたイレイザーヘッドがいきなり後ろにいる私に振り返ったので驚いた。
轟くんも驚いたようでイレイザーヘッドに尋ねる。
「.........いや......なんでもねぇ────」
一瞬、思案顔見せ言葉を続けた。
「おいお前ら、もうそろそろバスを止めるぞ。降りる準備しておけよ。」
「「「はーい!!」」」