第19章 カアイイお友達
「もうっ!弔くんが騒ぎを起こしたせいでちゃんとの楽しいショッピングが台無しですっ!」
プロヒーローや警察に出来るだけ会わないように、あまり人目につかない裏道や細道を通って私たちはアジトへ向かった。
その途中トガちゃんが、お買い物が台無しにされた、と頬を膨らませて何度も怒っていた。
「ちゃんさっきの子たちは、クラスの子たちですか?」
何を期待してるのか興味深そうに大きく瞬きをして聞いてきたトガちゃん。
『そーだよ。緑谷出久と、麗日お茶子。男の子の方はね、不思議なの。個性が見えないんだよね。』
「へぇ......。出久くんと、お茶子ちゃん。」
デクくんの個性が見えない、ということにはまるで無関心のトガちゃん。
『気になる?』
「ええ!とってもッ!」
あ、でも、と言いトガちゃんが立ち止まり私をじっと見る。
『どうしたの?』
トガちゃんに合わせて私も足を止め、トガちゃんに向き直る。
金色の双眸に見つめられ、いくら女の子同士でもドキドキしてしまう。頬を少し赤らめて照れ臭そうに私に言った。
「さっき、ちゃんが私のことをオトモダチ、って言ってくれたの、私とっても嬉しかったのです......たとえそれがその場しのぎでも。」
『......っ。』
面と向かってそんな事を言われてつい私も恥ずかしくなってしまった。
でも、その場しのぎなんかじゃない。
『トガちゃん、私その場しのぎで言ったんじゃないよ。トガちゃんの事初めてできた大事なお友達だと思ってる。だから今日、一緒にお買い物できて、お揃いの物買えて嬉しいなって思ってたの。』
「うぅ....ちゃん..ッ...!」
目を潤ませギュッと抱きついてくるトガちゃん。
「私も、カアイイちゃんが大好きなのですッ!」
だからちゃんの血、チウチウしてもいいですか?と、頬を赤らめて、恥ずかしそうに言ってきたので
痛くしないでね?と笑いながらそれだけ言った。
『あ、そのキャップ似合ってるからトガちゃんにあげるね』
なんて他愛もない話をしながら2人でアジトへ向かった。