第19章 カアイイお友達
見つけたのはデクくんと麗日さん。
「え、さん...ッ...!?」
「ちゃん!来とったんか?」
2人の視界に出来るだけトガちゃんが入らないよう、手を繋いだままトガちゃんの前に立って、立ち位置を調整した。私がここにいることに驚いてる2人を無視して言葉を放つ。
『アナウンス聞いた?何があったんだろう......』
恰も自分も被害者のように、平然を装って口を動かす。
「そ、それがッ...死柄木が...あ、いや死柄木弔っていうヴィランがいるんだけどさっき、僕の前に現れて...。」
やっぱり弔くんか...。
と思う反面、初めてデクくんの口から弔くんの名前が出てきた事に緊張感のようなものが走った。まさかデクくんに接触してたとは。
『それで、そのヴィランはどこに?』
弔くんがこのショッピングモールから逃げてればいいんだけど...
「...それが、すぐに見失っちゃって。」
「で、でもすぐに区の警察とプロヒーローが緊急捜索に来るって言ってたからもう大丈夫だと思うんやけど......。」
「それよりさん、後ろの子は?」
デクくんが私の後ろに立つトガちゃんを、覗き込むようにして見た。
『私のお友達だよ。』
そう言った瞬間握っていたトガちゃんの手がギュッと強く握り返されたような気がした。
じゃあ私たち行くね、とあまり長居できないと思い一方的にそう言って2人に背を向けショッピングモールを出た。