第1章 初めまして先生
施設を後にし、スーツを着た大男とは人通りの少ない雑居ビルの前に立っていた。
『おじさん、わたし今日から...ここに住むの?』
大男とビルを交互に見上げながらが聞く。
「あぁ。そうだよ。今日からここが君のおうちだ。そしてぼくの事は先生と呼ぶんだよ。彼もそう呼んでるからね。」
『彼?』
「君のイイオトモダチになる子だ。仲良くするんだよ。には彼の右腕になって欲しいんだ。」
『右腕?』
螺旋階段をぐるぐる登りながら先生は言った。
今日から暮らしていくであろう部屋のドアを開けると、薄暗い廊下の先に2つ部屋が分かれていた。
先生に続き、靴を脱いで家に入る。
床から足に伝わるひんやりと不気味な冷たさが身体を強ばらせる。
『ひっ......!!』
廊下を少し歩くと、部屋の入り口からひょこっと水色の髪の毛の男の子が顔を出していた。
でもただの男の子じゃない。
両腕から顔の中心にかけて、手の模型のようなものをつけていて異様な雰囲気を醸し出している。
「先生...おかえり。」
「弔、ただいま。」
先生はその男の子を弔と呼んだ。
「誰......その女の子」
弔と呼ばれた男の子の手の模型の隙間から見える赤い瞳が私を睨む。
「ほら、挨拶」
『......8歳......』
「死柄木弔...12歳...」
弔くん...。
私は無意識に弔くんをジッと見ていた。
『あ、あの、ほうかいって、なあに......?』
「は、なんでそれを......先生もう俺の個性話したの?」
「いや、ボクはまだなにも......」
先生も弔くんも驚いた顔をしていた。
それもそうだろう。
ドクターの元で、私が与えられたもう1つの個性。