第1章 初めまして先生
''スパイアイ''
見た者の個性が分かる個性。
『私...見た人の個性がわかるの...だ、だから隠していたのならごめんなさい...!』
「別に隠してたつもりじゃないけど」
「ほぉ。ドクターが言ってた肉体改造実験ってやつかな。詳しいことは聞かなかったけど、まさか個性複数持ちとは」
これは凄いねぇ、と言いながら先生はわしゃわしゃと私の頭を撫でてくれる。初めて会って抱きしめてくれた時もそうだったけど、この人は暖かい。
「先生、俺も個性2つ欲しい」
手の模型がついてない顔の露わになった部分をぽりぽりと掻きながら弔くんが先生に言う。
「弔、羨んではいけないよ。たしかにの個性複数持ちは凄いことだ。でもねこの実験は生身の人間には耐えられるものじゃないんだ。彼女はイレギュラー。僕からしたら弔もも特別さ」
「ちぇっ」
口を尖らせそっぽをむく弔くん。
『せんせー、何を教えてくれるの?どうしたらつよくなれる?』
「そうだね...はどうして強くなりたいのかな?」
『どうして...?』
その瞬間私の脳裏に浮かんだのは、私を異端視してきた人達の顔。
『まだちゃんとは、分からないけど...でも私悔しいの...』
「そうだよ、。その気持ちが大事なんだ。悔しい、憎い、辛いその感情が必ずキミを強くしてくれるよ」
弔もね、と付け足し先生が続ける
「さぁ、この話はおしまいだ。今日はもう疲れただろう。弔、に家の中を案内してやっておくれ。ぼくはやる事があるんでね。少し家を空けるよ。」
『せんせーはどこにいくの?』
「仕事だよ。なーに、弔がいるから寂しくないさ。僕はいつも君たちを見てるからね。君たちは強い。それに、時期に君達の親代りも来るさ」
親..。あまり親という言葉に良いイメージのない私にはそれほど嬉しい言葉ではなかった
今日初めて会ったのに、この人にずっとついて行きたいって初めて思ったのにもうお別れなの?
私はなぜかもう2度と先生がここに帰ってこないのではないかとそんな直感が働いた。
『せんせぇ...もっと撫でて...せんせーの手...あったかくてすき...』
私は先生の足に擦り寄り無我夢中で先生を求めた。
「はは、は甘えん坊だなぁ。じゃあ弔頼んだよ。」