第18章 期末試験※
「おはよう諸君。
今日はテストの結果発表と終業式を行ったら解散だ。早速だがテストの結果を言う───」
しんとした教室に緊張が走る。
「今回の期末テストだが、残念ながら赤点が出た。......したがって林間合宿は───」
すぅと息を吸ったイレイザーヘッドが不敵な笑みを浮かべ言葉を続ける。
「全員行きます!!!」
え?全員?
思いもよらぬ展開に空いた口が塞がらない。
「「「「どんでん返し来たぁ!!」」」」
「行っていいんすか!俺ら!!」
「アタシも行っていいの!?」
全員行きます、その言葉にクラスが沸いた。切島くんが机から身を乗り出し、芦戸さんが涙ぐみながらもう一度聞いた。
「あぁ。赤点者だが、筆記の方はゼロ──」
イレイザーベッドの言葉に胸を撫で下ろす。
ミスター、黒霧ありがとう、と心の中で呟いた。
「実技では、切島、上鳴、芦戸、砂藤......それと瀬呂が赤点だ。」
「ひぇー!.....やっぱり...!たしかにクリアしたら合格とは言ってなかったもんなぁ...」
赤点者の中に自分の名前を呼ばれ、肩を落とす瀬呂くん。
「そもそも林間合宿は強化合宿だ。赤点取ったやつこそ、ここで力つけてもらわなきゃならん。......合理的虚偽ってやつさ。」
またその言葉......。
以前、イレイザーヘッドに除籍処分、と言われたことを思い出した。
「っっ!またしてもやられた......っ...。しかし!2度も虚偽を重ねられると信頼に揺らぎが生じるかとッ!!」
隣の席の委員長が勢いよく席から立ち上がり、イレイザーヘッドに言った。
あ、この人たちも1度イレイザーヘッドに騙された事があるんだなとここで察した。
「...確かにな。省みるよ。ただ全部ウソってわけじゃない。...赤点は赤点だ。赤点組には別途に補習時間を設けてる。覚悟しとけ」
ニヤニヤと笑うイレイザーベッド。
林間合宿のしおりを配り、目ェ通しておけよと言葉を残して教室を出ていった。