第18章 期末試験※
結局、教室に到着したのはホームルームの始まる5分前。
我ながらよく間に合ったと思う。
委員長の隣の自分の席に腰かけ、ふぅと一息つく。
「おはよう!くん!君が時間ギリギリなんて珍しいな。なにかあったのか?顔もいつもより赤いようだが。」
「ホントだわ。ちゃん、昨日も言ったけどやっぱり体調優れないのかしら?」
『はは、そうかなっ...。全速力で走ったからかも...。』
隣の委員長と前の席の蛙水さんが振り返り、心配そうに顔を覗き込まれた。
顔が赤いのは走ってきたから、だけじゃないのは自分が一番分かってる。
ついさっきまでの、弔くんとの行為を思い出してぶわっと顔に熱が集まる。自分でも随分と大胆な行動をとったし、言葉にもした。
今になってどうしようもない恥ずかしさに襲われる。
「みんな......合宿の土産話...楽しみに、してる...からッ...!」
突然芦戸さんが涙声になりながら言う声が聞こえてきた。
教室のドア付近に演習試験をクリア出来なかった芦戸さん、切島くん、上鳴くん、砂藤くん、が集まり絶望に陥った青ざめた表情をしていた。
「ま、まだ分かんないよ...!どんでん返しがあるかも知れないよ...!」
「よせ、緑谷。それ口にしたらなくなるパターンだ。つっても、俺も峰田のおかげでクリアはしたけど、寝てただけだし───」
4人をおろおろと宥めるデクくんと、何もせずにクリアした事に不安を募らせる瀬呂くん。
確かに、演習試験クリアしたら合格、とは言われてない。
「とにかく…!採点基準が明かされてない以上は……」
「同情するなら、何かもう色々くれー!!!」
ポジティブに考えようとする瀬呂くんに、やぶれかぶれに泣き叫ぶ上鳴くん。
そんなに行きたいものだろうか。林間合宿。
瀬呂くんの言う通り、採点基準も明かされてなければ、赤点とったら林間合宿に行かせない、とも言われてない。後者はミスターも言っていた言葉だ。
かと言って、クリア出来たから合格。とも言われていない。
だから本当にどうなるか分からないわけで......
教室中がそれぞれの不安を抱えている中、ピシャンと勢いよくドアを開けて入ってくるイレイザーヘッド。バタバタと自席につく生徒たち。