第18章 期末試験※
翌日、昨日は放課後倒れてしまったが、リカバリーガールの治癒のおかげですっかり元気になった。
あれからアジトに帰ると、いつもより帰りが遅い私を連合のみんなが心配して待っていてくれた。
ヒーローに助けられた、なんて言いたくなくて適当に理由は誤魔化しておいた。
弔くんは私が帰るなり、不機嫌そうな顔ですぐに自室に籠り、
トガちゃんに関しては、昨日の朝言ったとおり本当にパーティーをやる気でいたみたいで「どうして早く帰ってこなかったんですかぁッ!」としつこく咎められた。
そして今に至る。
学校の支度をして、バースペースへ移動すると既に弔くんがカウンターに座っていた。珍しくカウンターの中に黒霧がいない。
『弔くんおはよ』
「......あぁ。試験の結果今日分かんのか」
弔くんが私の顔も見ずに聞いてきた。気のせいだろうか、口調は柔らかいのに怒りを含んだような冷たい声が気になった。
『一応そのはず。そういえば林間合宿で誰を攫うの?』
私も弔くんの隣に座り、制服のネクタイを締めながら、ずっと気になってた事を弔くんに質問した。
「爆豪、勝己......」
歯切れの悪い返答が気になったが、思わぬ人物にそれどころではなくなった。
『え、かっちゃん?』
「あ?」
『っっ!』
弔くんの赤い瞳に睨まれ思わずすくみ上がってしまう。
あの超完璧主義者の?かっちゃんを?
『無理だと思うけど。かっちゃんを連合に誘うなんて』
正直に言った。誰よりも勝ちに固執する彼がヴィラン連合なんて、天地がひっくり返ってもあり得ない。
「別に仲間にならなくてもいいんだ......。攫ったっていう事実さえあればそれでいいんだ。それより──」
『ん......ッ...』
私の名前を呼ぶと同時にイスをくるりとこちらに向け、弔くんの人差し指が私の唇をなぞる。
「やけに爆豪を庇うんだなぁ......?」
唇の端から端をゆっくりといったりきたりしてるだけなのに......身体がゾクゾクしてくる......変な感じ......
『...っ...別に庇ってなん...か....!?ふッ.....』
私が言い返そうとしたところを弔くんの指が2本口の中に入ってきてそれを阻止する。
噛むなよ?そう言いながら上顎を撫でるようにスリスリとなぞられた。