第18章 期末試験※
「寝不足......疲れといったところかね。この子、最近入ってきた転入生だろ?慣れない環境に、試験続きで相当疲れが溜まってたんじゃないかね。」
「ええ。コイツ教室でも全然喋らないので......いや、俺がメンタルケアを怠ったせいか......クソッ......」
ばーさんの治癒で、まだ眠ってはいるが先ほどよりだいぶ顔色が良くなった。
確かに、コイツは雄英に来てすぐ試験続きだった。無理させてしまったな。
「もうじきに、目が覚めるさ。あたしゃ、これから病院に慰問へ行かなきゃならないからもう行くよ。あとは頼んだよイレイザーヘッド。」
「ええ、ありがとうございました。リカバリーガール」
ばーさんの去った保健室で静寂が流れる。
ベットの脇にある椅子に座り、すやすやと眠るに目をやる。
コイツの寝顔を見るのはこれで2回目だ。
前髪を分けて額に触れた。
「......ッ...」
いつだったか、バスの中で眠ってしまったコイツの額に自分の唇を押し当てた事を思い出した。誰も見てねぇと分かってるのに、首元の捕縛布で口元をつい隠す。
俺はなんであんな事......
戦ってる時はどこか妖艶で楽しそうな顔をしたり、時折他の生徒らを一歩引いたところからじっくり分析するような顔だったり、オールマイトを見れば露骨に嫌な顔をしたり、無防備な寝顔だったり、ごく稀に見せる年相応の笑顔だったり......
ハ......あげればキリがねぇ。
「どれが本当のお前さんなんだ?」
返事が返ってくるわけでもねぇのに言葉を漏らした。