第17章 ヴィラン連合とおべんきょう※微
「......ん?ちゃんどしたの?」
ミスターの口元が弧を描いている。
『ぁ......いや...ミスターの顔......初めて見たなって......』
黒色の柔らかそうな癖っ毛に、整えられた短い眉。綺麗な茶色の瞳に、切れ長のやや吊り上がった目。
この顔にどれだけの女性が落ちたんだろうか......。
そんなミスターについ釘付けになってしまう。
「ちゃんこそ、そーんなに見つめられたらおじさんこそ恥ずかしいよ......?」
『カッコいいよ、ミスターは......』
「っ......」
自分で言っておきながら恥ずかしくなり、誤魔化すようにしてすぐにケーキを口にした。
『ん......美味しい!ミスター、このケーキ本当に美味しい!』
「......へぇ............じゃあ───」
ミスターが急に立ち上がる。私の隣に腰をかけ片腕をソファの背もたれに置き、身体を私の方へ向けた。
なぜわざわざ隣に移動してきたのだろうという疑問は、ミスターの次の行動ですぐに解けた。
「あーん.........」
目を瞑り、口を開けているミスター。
これは食べさせろと、そういうことだろう。
それにしても.........
彼が目を瞑っている事を良い事に、彼の整った顔をもう一度見る。女の私から見ても綺麗な肌。どんな手入れをしてるのだろうか。癖っ毛のふわふわの髪の毛に触れたいのをなんとか我慢し、一口サイズにしたケーキをフォークに刺しミスターの口元まで運ぶ。
あと少し、あと少し......
カランコロン......
「ちゃん、いますかぁ?」
形のいいミスターの唇にケーキが触れそうになった瞬間に、ドアベルの音と共に聞こえてきたトガちゃんの声。こんなところ見られまいと咄嗟に、ミスターまで伸ばしかけた手を自分の方へすぐに戻しそのままケーキは私の口の中へ入れた。
「へぇ.........」
片目を薄ら開けて意地悪そうに笑うミスター。
「ちゃんいましたッ!あ、圧紘くんも一緒ですッ!」
トガちゃんの後ろにはトゥワイスもいて2人でバタバタとこちらに近づいてくる。
今の見られてないよね......?