第16章 デクくんとおべんきょう
『私の個性、前に話したよね。スパイアイ。その人の個性が分かるの。でもね───』
緑谷は薄々気づいていた。職場体験前のバスの中で、が自分に言いかけた事。自分の個性、ワンフォーオールについて何か知られてしまったのではないかと。もしかしたら、今日こうやって勉強教えて欲しいというのは建前で本題はこっちなのではないかと。
まだ雄英に来て日の浅いの表情を汲み取るが、その表情からはなにも読み取れない。
それどころか外から差しこむ街灯の灯りでの長い小豆色の髪の毛がキラキラ光っているだとか、暗闇で艶かしく動く唇だとか、二重目の大きな瞳はどこか妖艶さすらあった。
その唇から次に発せられる言葉を緑谷はじっとの瞳を見て待った。
『デクくんの個性、はっきり見えないの。小さい頃、公園でデクくんとかっちゃんを公園で見たことがあるって言ったでしょ?あの年齢で無個性なのは珍しいなって思ってたから、なんか記憶に残ってるんだよね。』
あとデクって名前も珍しいから覚えてた、と付け加えはUSJ襲撃の時から感じてた疑問を緑谷にぶつけた。
の目の前にいる緑谷は彼自身の痛いところを突かれたようにも見えた。
「........確かに、僕はずっと無個性だったんだ。でもある日突然個性が発現して...。今はその個性をちゃんとコントロールできてない状態で......だから、まだちゃんと自分のものにできていないから......だと思う。」
『へぇ。そうなんだ......。』
渋りながらも納得したの様子にホッと息をつく緑谷、だがそれも束の間での怒涛の質問攻めは終わらない。