第13章 ヒーロー殺し
『確かこの辺のはずだったんだけどな......』
ビルの間を飛び回り、氷壁が見えたあたりまで行く。
その途中で脳無ちゃん達が、ヒーロー達と戦ってるのが見えた。
頑張れ脳無ちゃん。
「なりてぇもんちゃんと見ろッ!!!!!」
『....!?』
突然聞こえてきた叫び声の方へ向かうと、そこにはヒーロー殺し、デクくん、委員長、赤と白の髪色の男の子がいた。
なんでここに1年A組の生徒が?
バレないようにビルの上から彼らを眺めていた。
あぁ、そういえば職場体験とか言ってたっけ......
委員長とデクくんはヒーロー殺しに血を摂取されたのか、それぞれ地面に伏せて動けずにいた。
半冷半燃の男の子......名前なんだっけ?
仮にも同じクラスなのだから名前くらい覚えなきゃな、と私は呑気に思っていた。
USJ襲撃の時には一切見せなかった、左の炎......
アレも個性複数持ちという事なんだろうか?
今度聞いてみるか......
『ヒーロー殺し、こんなところで油売ってていいのかしら』
誰に届くはずもない独り言をボソッと呟いた。
しばらくして、デクくんと委員長も立ち上がり3対1になっていた。
『あ...』
委員長が立ち上がったところで思い出した。
学校の帰り道、大型ビジョンに映し出されたインゲニウムというヒーローと委員長の顔がどことなく似ていた。
あの時の既視感の正体はこれか。
兄弟なんだろうか...
これも今度聞いてみよう。
それにしても流石にヒーロー殺しも、ヒーローの卵3人相手じゃキツイだろうに...
それでも私はヒーロー殺しに加勢しようとは微塵も思わなかった。
「お前を倒そう、今度は犯罪者として!インゲニウムとして!」
「たたみかけろ!!」
委員長と半冷半燃の子の叫び声と共にそれぞれの攻撃がヒーロー殺しへダメージを与えた。
白目を剥きながら倒れるヒーロー殺しを、ゴミ置き場に捨てられてあったロープを使い拘束し、大通りを出て行く彼らをジッと見つめていた。
『あーあ。なに子供にやられてんだか。でも、弔くんと黒霧に刃向けたんだから、そのくらいの報いは受けてよね。』
その後すぐに、まるで招集されたかのようにプロヒーロー達が駆け寄ってきた。